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西日暮里発、代々木上原行きの迷い


香川県の直島を午後5時に出て、その日のうちにちゃんと東京まで帰ってこれるなんてすごいですね。

高松空港から成田空港までの飛行時間はたったの1時間と10分。飛行機とは偉大な乗り物である。

で、予定より15分も早く成田空港に到着した僕は、余裕で予定していた安くて割と早く着く電車で(つまりはスカイライナーとかいうものでなく)麻布十番まで帰って来るつもりだった。

京成線は地下鉄に乗り入れ大門まで乗り換え無し、大門からはわずか二駅で麻布十番なのだ。

ところが、勝手な思い込みで、その列車は、そのコースを辿るためには青砥駅で乗り換える必要があったのだ。(ちなみに日曜日だけで、平日は大門まで乗り換え不要)

日暮里に着く頃、その違和感に気づいて、冷や汗が出る。
えっ乗り換えだったの?このまま上野まで行ったら最終乗り遅れるじゃん⁈
日暮里から行けないかな?と焦って調べたら日暮里ーで乗り換え便を発見。乗り継ぎは2分しかない。…ってそこも焦って乗り換えホームを間違えて乗り過ごし、また別のルートを検索。
1分後に来る山手線で西日暮里まで行けば千代田線、南北線経由で奇跡の最終で麻布十番まで行ける!

とどうにか無事に帰って来たのだけど、話の本題はそこではない。

西日暮里から乗った千代田線、代々木上原行きの最終列車は、人もほとんどおらず、僕の斜め前に仕事帰りっぽい若い女性が座っているだけだった。

するとその女性は、前屈みに寝だしてしまったのだ。しかもかなり熟睡の様子で、電車が止まるたびにドアが開いても全く気が付かない。

僕の頭の中は、この女性が終点まで行って駅員に起こされ途方に暮れる風景が映し出された。
いや、あるいは終点の代々木上原にお住まいなのかもしれない…

男の人だったら放っておく。
でも女性が夜中に1人見知らぬ駅に取り残されたら…と思うと僕は迷った。

起こすべきなのか?


いや、ここで変に起こすと下手したら痴漢扱いされるかもしれない。

むし、無視しよう。僕には関係ない…

で、でももし彼女が暗い駅で1人で過ごすことになったら…あるいは法外なタクシー代を払うことになったら…

僕の頭は起こすべきか起こさぬべきかの判断の往復運転を繰り返した。

そして、決めた。
僕が乗り換える駅(国会議事堂前)の直前で起こそう。起こしてサッと外に出よう。

そしてその作戦は実行された。

僕は2度彼女の肩を叩いて、起きてくださいと静かに話した。

反応なし…

もう一度強く、2度肩を叩いて、起きてください…と言った。

彼女はもぞもぞと起きながら携帯を眺め始めた。僕に起こされたことには気がついていない様子だった。

携帯を見ながら、特に慌てた様子では無かったので、乗り越しとかの心配は無かったのかもしれない。

いずれしても彼女は無事に起きたわけだし、僕は人間としての義務を果たして、電車を後にした。

一歩間違ったら痴漢騒ぎでヤバい事態になってたかもしれない…

でも僕はやり切ったのだ。(功を奏したかは別として)

いずれにしても人生は一歩道を間違えた先にドラマが待っている

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