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イップス

皆さん、おはようございます。朝カーテンを開けると、ベランダの淵に雪が積もっていました!私は寒いのが苦手なので(手もカサカサだし、服もないし…)早く温かい春になってくれないかと、布団の中から願っております。


今日は皆さんにイップス(yips)について、みなさんと意見が共有できたらいいなと思っております!少しの間だけ、お時間いただけると幸いです。


イップスとは?

野球やゴルフなどを経験してきた方なら一度は聞いたころがあるかもしれません。イップスという用語を最初に使ったのは、1900年代にPGAツアーなどゴルフ界で活躍していた、トミー・アーマーという選手です。彼はパッティングの際に、手や腕が振るえてしまう現象を雑誌の中で独自に命名したのが始まりです。

今日まで、多くのアスリートがイップスという症状に苦しめられてきました。競技レベルの高いゴルファーでは32.5~47.7%(smith et al, 2000)、日本のプロゴルファーだと約35%(Revankar et al, 2021)、大学生硬式野球部では47.1%(青山ら, 2021)と非常に多くのアスリートがイップスの症状に苦しめられているのがわかります。またアスリートに限らず、外科医の先生や料理人などもイップスの症状に苦しめられているそうです。


では、イップスという症状に定義はあるのでしょうか。実はイップスに確立した定義はありません。

下記に記してあるのは、論文から引用したものです。

The yips are a psycho-neuromuscular movement disorder, which affects sports in which fine motor precision skill are required for success. (Clarke et al 2015)  ※fine motor precision skill:正確性を求めるような細かい技術
Yips in professional golfers presents as sudden, acute loss motor skill resulting in loss of performance during high-pressure sporting environments. (Revankar 2021)
The yips is a psychoneuromuscular impediment affecting execution of the putting stroke in golf. (Smith et al, 2000)

このように、イップスの定義は多少似通ってはいますが、確立したものではないということが言えるでしょう。しかし3つに共通しているのは、心理的な面が関与しているということ。それがなにかはまだはっきりわかっていませんし、個人よって原因はさまざまですが、「プレッシャー」や「心の葛藤」「不安」などが根底にあるのではないかと思います。

僕もあの頃を思い出すと、いろいろな不安が重くのしかかっていたのは事実です。高校では相談できなかったという葛藤もありました。しかし、もしかしたら他にも原因があったのかもしれません。それができるのは、僕が臨床心理士か公認心理士になって、あの頃の自分と面接するしか方法はありませんね。


またイップスはジストニアとの関連性も研究されていますが、ここはまだ勉強中でなかなか難しい範囲なので、また別の機会に…


日本でのイップス

さて今日は最後に、今日まで日本で行われてきているイップスの克服方法を僕が調べた限りでお話させていただきます。

➀認知行動療法

認知行動療法とは、「現在の困っている問題を認知、感情、行動、身体反応に分けて整理し、概念化に基づいて治療を行う心理療法」(栗林,2021)と明記されており、臨床心理の現場でも用いられている、科学的にも信頼度が高い心理療法です。また認知行動療法ができるのは、臨床心理士、公認心理士、スポーツメンタルトレーニング指導士などの専門家のみです。


➁催眠療法

イップス研究所というところでは、催眠療法を用いた「無意識のメンタルトレーニング」というのを用いています(河野,2020)。分割弛緩法を用いるそうですが、詳しくは「イップスの乗り越え方」という本を読んでみてください。

➂カイロプラティック

瑞穂の森治療院(名古屋市)では、カイロプラティック技術を駆使して、脳-脊椎-末梢神経の乱れなどを治療していくそうです。詳しくは、ホームページを参照してください。

➃投球指導

最後に投球指導です。Twitterで「イップス」と検索すると、「投げ方直してイップス改善!URLはこちら」みたいな人達がたくさんいます。けどこれはあくまでも経験者としての意見なのですが、投げ方の指導だけで治ったらそもそもイップスではないと思います。投げたくても投げられないからイップスなのです。それで済むなら、あんなに多くの人がイップスになることはないのです


最後に

今回はイップスとは何か、日本でのイップスの克服方法を書かせていただきました。だいぶ長くなってしまいましたが、みなさんもイップスという症状について、少しでも意見が共有できたらうれしいです!!

ありがとうございました!


参考文献

・Aynesley M. Smith, Susan A. Malo, Edward R. Laskowski, Michell Sabick, William P. Cooney Ⅲ, Steven B. Finnie, Debbie J. Crews, Joseph J. Eischen, Ian D. Hay, Nicole J. Detling and Kenton Kaufman(2000)  A Multidisciplinary Study of the Yips Phenomenon in Golf,  An exploratory analysis. Sports Medicine, 30, 4233-437.
・Gajanan S. Revankar, Yuta Kajiyama, Yasufumi Gon, Issei Ogasawara, Noriaki Hattori, Tomohiro Nakano, Sadahito Kawamura, Ken Nakata, Hideki Mochizuki(2021)  Perceptioion of yips among professional Japanese golfers: perspectives and challenges.  perspectives from a network modelled approach." Scientific reports 11.1 (2021): 1-10.
・Clarke, Philip, David Sheffield, and Sally Akehurst. "The yips in sport: A systematic review." International Review of Sport and Exercise Psychology 8.1 (2015): 156-184.
・青山敏之, 阿江数通, 相馬寛人, 宮田一弘, 梶田和宏, 奈良隆章, & 川村卓. (2021). 大学野球選手における送球イップスの発症率とその症状に関する探索的研究. 体力科学, 70(1), 91-100.
・河野昭典(著), メンタルによる運動障害「イップス」かもしれないと思ったらまず読む本(2019), 株式会社BABジャパン
・河野昭典(著), 飯島智則(企画・構成),メンタルに起因する運動障害 決定版イップスの乗り越え方(2020),株式会社BABジャパン           ・栗林千聡, 第9章 イップス-生理的,心理的,社会的背景から捉える(2020),荒井弘和(編著),アスリートのメンタルは強いのか?,株式会社晶文社,p207ー217






やっぱり頭で思っていることを文章に起こすことって、非常に難しいですね。いやー、これは勉強になります✍

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