介護保険料滞納差し押さえ 記事について
またも辛い記事です。
これは18年度調査ということですから、その後の景気低迷、消費税の増税、そしてこのコロナ禍で一層の拍車が掛かる懸念があります。
今回の介護保険料のみならず、後期高齢者医療保険料、国民健康保険料、こうした滞納も増加しており、命と健康が脅かされています。
国民年金の場合もそうですが、これらは、民間保険のいわゆる私的保険とは異なり、あくまでも社会保障制度の一環としての公的保険です。
記事の中で、
「介護保険に加入している65歳以上の人は、18年度末で3525万人いる。このうち9割は年金から介護保険料を天引きされているが、残り1割は年金額が年18万円未満で、保険料を納付書や口座振替で支払っている。生活保護を受ける人は、生活保護費に介護保険料が加算されて支給される。差し押さえを受ける人は、生活保護は受けていないが、受け取る年金がわずかで保険料を払えなくなった人が多いとみられる。」とありました。
ならば生活保護をと言う話ではありません。社会保障制度自体の充実・改善を図るとともに、とりわけ低年金者・無年金者を守っていくためには、最低保障年金制度創設の必要性もますます重要になってきています。
また、
「差し押さえをするかどうかは自治体の判断にゆだねられる。・・・
保険料を滞納しても、介護サービスは利用できる。ただ、滞納期間によって利用者負担を引き上げられたり、サービス費用を全額負担して後から払い戻しを受けたりする。自治体によっては、保険料の分納や低所得者向けの減免に応じる場合もある。」と伝えています。
ありがたい情報です。しかし、一方、
「社会保障のしくみと法」(伊藤周平著、195頁)では、「・・・低所得者について独自の減免措置を実施する市町村が相当数出てきた。これに対して、厚生労働省は、①保険料の全額免除、②収入のみに着目した保険料の一律免除、③一般財源の投入による保険料減免分の補填は、介護保険制度の趣旨に照らして不当であるとの見解を示している(これらを行わないことが「3原則」と言われる。)。厚生労働省は、全国の担当課長会議の場や都道府県を通じ「3原則」を遵守するよう市町村を指導している。・・・地方自治の趣旨から問題である。」と。
国が市町村の努力に対し異議を唱え、「介護保険制度の趣旨に照らし不当」とは、いかなることでしょうか。そしてそれにより社会的弱者に一層の負担を強いるとは。
社会保障制度・政策の典型的問題がここにもあります。
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