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年金:真の改革で正の循環サイクルへ

 前回の図表を再度表示し、これらについての私の見方をご紹介していきたいと思います。

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お話を進める上で、前に纏めてあった下記の表も掲げておきます
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年金制度は平成16年改正により、大きく変わりました。
・従来の「給付水準をみて保険料引上げ等財源措置を講ずるという
 方法」から、「保険料引上げは停止し固定、その範囲で給付」と
 いうを方法に変更、

 いわば、確定給付年金から確定拠出年金へと言うことでしょうか。

・給付削減を自動的に行うためマクロ経済スライド制の導入と年金額
 改定ルール
により「自動的」に給付水準を引下げる方法に変更。
 国民・選挙民の批判に晒されないよう安易な方法の選択です。

保険料引上げ停止は企業負担を回避したい財界の意向があったことは
 明確になっています。このままいけば保険料率は35%程度になる。
 高負担を強調し中負担・中給付の選択を誘導、しかし、生活者には
 実態的には高負担・低給付という結果になってきています。

消費税は導入以降、税率が引き上げられ17兆円にもなっております
 が、この額は法人税・所得税の減額を補うもの
です。
 消費税を社会保障費にとは、全く偽りに過ぎず、大企業・高所得者
 優遇のため使われて来たことは明白です。

・こうしたことから、この間、生活者は年金額は実質減少、消費税増税
 という形で税負担は増加、生活は一層苦しい状況に追い込まれて
 きています。

・逆方向の回転、今までとは逆の正に本来あるべき「正の循環」により
 所得再配分の正常化を図っていくべきです。
そんなことを纏めた表でした。





さて、それでは年金財政の表とも絡め、以下、考えをご披露したいと思います。

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一般会計:
 1.歳出について
   公共事業費、軍事費等従来から指摘されているとおり、無駄や
           政治家の利権、米国からの無駄買いには注意が必要です。
   歳出は正にどういう国を造って行くかと言うことです。公共事業
   も必要なライフライン整備等の停滞、また行政サービスの低下
   には反対いたします。

 2.歳出とともに歳入に注目を
   従来、歳出に目が行きがちだったと思いますが、歳入についても
   考えて行く必要があります。法人税、所得税を従来の水準に戻す
   こと、消費税低減・廃止、大企業については補助金等優遇措置の
   見直し、適切な税金の徴収を図って行く必要があります。
   生活者にとって、逆累進性の消費税廃止は最も重要な課題と
   考えております。

   それで企業、特に大企業は大丈夫?、海外移転の懸念は?
   競争力は?、下請けは?等々、
   こうしたもう陳腐化した質問はないでしょうが。

特別会計:まさに年金論議の本丸
   財源と給付のバランス?、ない袖は振れない?、
   給付の自動低減装置たるマクロ経済スライドの導入???

 1.保険料の負担
  ・事業主と被用者の配分、高所得者の最高等級の引上げ等、
   保険料負担の見直しが必要と考えます。
  ・積立金取り崩しによる被用者の保険料負担の軽減も必要。
 2.適正な給付水準の確保
  ・まさに何のために年金制度があるのか、「持続可能性」?、
   制度を守る?、当然、生活者を守るということでしょう。
  ・また、生活者を守ることが趣旨である制度がその機能を果たせ
   ないとすれば、制度自体が守られていないということでしょう。

   憲法理念に反することに対し異を唱えることに何の躊躇も要りま
   せん。堂々と主張していきたいものです。

積立金:
 1.年金給付額の3〜4倍、海外では1月〜1年分程度。
 2.現状わが国の年金制度は賦課方式であり、積立金は要しない。
   給付のための流動性確保の程度に止め、有効な活用が可能の
   はず、「積立金」との名称が誤解の余地ありか。
 3.積立金をリスクに晒し、株高を図るいわゆる官製マネーの
   状況に懸念あり、当面残る場合も安全性最優先が求められます。

それぞれが深めていくテーマですが、今日はもう一つ、整理し掛けている私の中でのテーマを紹介しておきたいと思います。

年金と景気循環について
現状:
年金給付水準の低下、現役世代から見れば将来の社会保障制度等への不安、合わせて消費増税は生活者の消費行動を抑え、景気低迷の大きな要因となっています。
これを理由に賃金抑制・非正規雇用の拡大等が進められてきました。
(政府の好景気感については、この間の記事で反論してきました)
年金保険料については、報酬に保険料率を掛けるわけでその収入にも影響を与えるということになります。

正の循環サイクル:
年金は削減しかないのでしょうか?、社会福祉は金食い虫のコストでしかないのでしょうか?
年金給付拡大、それを含む社会保障制度の安定により、現在・将来の安心感を得ることが出来れば、消費拡大、景気拡大、賃金・雇用の好転、それが年金で言えば保険料収入の増加にもつながる、こうした循環が可能となってくるでしょう。

今回の被用者の厚生年金適用拡大もまさにこれに沿った取り組みでしょう。(但し、その意図が単に働き手を増やす、女性・高齢者への労働を強いるということであれば問題ですが)

この間の年金水準の引き下げについては、多くの地方議会から(政権与党が多数を占める自治体においても)反対の決議が行われています。特に高齢者の多い地方では、年金低下による消費停滞は直接、地方経済の状況に影響を与える懸念があるとのことです。
今、地方活性化が言われておりますが、まさにこうした点からも年金を捉えていくことが必要でしょう。
経済面から見て、社会保障が単なるコストではないことは明白です。(著書としては盛山和夫氏の「社会保障が経済を強くする 小子高齢社会の成長戦略」をご紹介します。一部やや考えを異にする所も。)

現在のコロナ禍の中、日本経済及び国民生活は大変な状況を迎え、従来どおりではない的確な政策運営が求められています。
国民の命と健康、生活を守るということを前提に、決して生活者の懐をこれ以上冷やすことのないよう、その改善を図っていくことが、対策のベースになっていくことを望んでおります。

また、少子高齢化の中で年金は削減しか道はない、消費増税はやむを得ない、こうした年金界における都市伝説については今後ともいろいろな角度からその欺瞞性を明らかにしていきたいと考えております。




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