包丁の選び方③~材質①・大雑把な分類~

前回までで刃の片刃・両刃、そして包丁の種類について書かせていただきました。
ここまで来たら、次は最後の『材質』選びです。

大まかにですが包丁の材質は「鋼」「ステンレス」そして「合金」に分かれます。


まず、「鋼」から説明しましょう。

鋼は包丁の基本中の基本の材質といえるでしょう。
適度な硬さ・柔らかさもあり、非常に研ぎやすい材質です。
切れ味もいいし、刃こぼれもしにくいです。
「粘りのある包丁」なんて表現されることもあります。

自転車やっている方なら「鋼」と「ステンレス」の特性は、
「クロモリ」と「ステンレス」で置き換えても差支えないように思えます。

デメリットは錆びやすさと重さでしょう。
鋼の包丁は本当にこまめに手入れしてやらないと錆びます。
また包丁のサイズが多きになればなるほど重く、扱いにくくなります。
手で持つというのは割と負担になるのです。
(軽すぎてもいけません。これは包丁に手の感覚は伝わらくなるからです。)


次に「ステンレス」です。

私はこれを好んで使っています。
ステンレスの最大のメリットは錆びにくいことと切れ味が持続しやすいこと、そして軽さです。
ステンレスは固くてある程度軽い、非常にいい特性を持った金属です。

デメリットもあります。
第一に固さ故、研ぎにくいです。そして鋼に対して切れ味が劣ります。
刃こぼれも鋼よりしやすいです。

ただ、しっかり包丁の特性を理解したうえで研いであれば鋼に負けません。
ステンレスの包丁はある程度扱いの慣れた人におすすめの包丁といえるかもしれません。


そして「合金」です。

その名の通り、合わせた金属になります。
異なる素材の金属を積層させることによって包丁を作っています。

ステンレスと合金のいいとこずくめの包丁と考えてしまうかもですが、これは正解でもあり不正解です。
確かに研ぎやすさ、固さはいいところを合わせていますから正解といえるでしょう。
しかし、「層」があって「芯」があるわけですから、研いでいけば上の材質より寿命が短いのは明白です。
その層の積層の仕方も色々あります。金属を粉末にして吹きかける工法や三枚合わせといった製法まで色々です。
価格的には大きなメリットがあります。扱いやすい包丁ではあります。


チタンもあったりしますが、包丁としては一般的でありません。
それはチタンの持つ、「軽さ」「やわらかさ」が包丁の特性にあってないからです。

包丁にとっては適度な重さ、そして固さが必要です。
チタンはその特性から軽すぎるのです。包丁は頭を叩いて固いものを切ったりします。
その時に刃にある程度の重さと固さがないと、物に対して包丁が負けてしまうのです。
その結果、刃こぼれを起こしやすくなります。
あと、チタンは非常に研ぎにくいです。ステンレスの比ではありません。
価格も高くなりがちで、包丁としてはデメリットが多すぎて適当とは言い難い材質です。


ここまで主に三種類の大雑把な説明をいたしましたが、その三種類の中にもさらに細分があるのです。
ここが包丁の難しいところであり、面白いところでもあります。

自分の切る対象や包丁を持つ時間、メンテナンスを考慮して選んであげるといいでしょう。


軽く箇条書きでまとめます。


切れ味
鋼≧合金>ステンレス

錆びにくさ
ステンレス>>>合金(材質による)≧鋼

研ぎやすさ
鋼≧合金>>ステンレス

軽さ
ステンレス>合金>鋼

価格
細かい材質によるのでなんともです。
ただし、合金は他二つに比べて安いです。

…これだけ見るとステンレスはある意味で非常に扱いにくく見えますね。
どの材質もそうですが、包丁で重要なのは研いでやることなのです。
完璧に研げば100均の包丁だって十分戦えます。

包丁は消耗品です。ガンガン研いでやることを前提に購入しましょう!


前回に引き続き、主観が混じってます。ご参考までにご覧いただければ幸いです。
次からはそれぞれの材質の細分について書いていきたいと思います。

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