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脇見歩きのつぶやき:庚申信仰編(1)

子供が小中学生のころは、よく一緒に近場を散策しに行ったものです。そのころ万博公園には数回行ってますが、国立民族学博物館の企画展で、すごく興味深いものがあって、パンフレットを今でも残しています。

国立民族学博物館「新着資料展示 世界の三猿ーみざる・きかざる・いわざる」1996年
パンフレット裏面の解説

 一つは、1996年の秋に行った時に開催されていたのが、「新着資料展示 世界の三猿ーみざる・きかざる・いわざる」、資料点数444点 出品国数39か国。世界中を回って収集した三猿が、所狭しと展示されていました。
 世界中に「みざる・きかざる・いわざる」もしくは類似した猿が、結構昔から伝えられているんですよ。びっくりでした。
 添付パンフレットに簡単な解説がありますが、日本での信仰について
 
日本人は庚申(こうしん)信仰と結びつく三猿に親しんできた。庚申は「かのえさる」とも読み、その連想から、猿が刻まれるようになったらしい。庚申信仰は中国の道教に端を発する。60日に一度まわってくる庚申の日に徹夜するのは、体内から三尸(さんし)の虫が抜け出し、天帝に悪事を告げないようにさせるためである。

とあります。そんな習慣、きいたことないなあ・・・・
 で、今に至っているのですが、つい最近、親父の遺品を整理中に「庚申信仰 庶民宗教の実像」飯田道夫1989 人文書院
というのを見つけました。
 今読んでいますが、道祖神やサルタヒコや大黒さんなども習合して、庶民に広く知られていたのが、明治の神仏分離令による廃仏毀釈で、多くの資料が失われてしまったようで、残念なことです。

「庚申の日に徹夜する」習俗について、こんなイメージです:読んでいる本からの棒引きですが; 平安時代、「庚申御遊」ということばがあった。
・・・当時の庚申の様子を「栄花物語」の「花山の巻」が良くとらえている。たまたま正月が庚申にあたったので、東三条殿の女御と、梅壺の女御の双方の若い者たちが、「年の初めの庚申だから、会をしましょう」と言い出し、それでは、と皆が集まって、翌朝の一番鶏が鳴くまで和歌を詠んだり、碁、双六に興じた。最後に、「この若者たちがいらっしゃらなかったら、今夜の眠気覚ましはなかったでしょう」という女房の感想があって、ここには遊び気分が充満している。

ここまで、別のところで今年4月18日に投稿した記事

さて、この本によると、この庚申信仰というのは、昔からの非常に多くの神様仏様が習合していて、道祖神として、庚申塔のように、地域の境界に塚として祭られていたようです。その中に「青面金剛」というのがあります。また、棒引きです。;

 庚申さんとは青面金剛とのこと、とだれしもが言う。それはその通りであるが、その青面金剛とはいかなる仏さまであるのか。
 一般にはなじみのない仏で、わたし自身、久しく知らなかった。先学が庚申信仰の祭神は青面金剛であるというのを盲信し、深く追求してみもしなかった。ある時、手元の仏像辞典を引いてみて、おどろいた。載っていない!・・・大文館『仏教辞典』の説明では、「帝釈天の使者で、庚申の日に祀られる薬叉神」とある。・・・

この辺りまで知識を入れて、庚申塔や青面金剛を見てみたいものだと思っていたのですが、三猿の記事を投稿して一か月もたたない、5月4日に、近くで青面金剛にばったり出会ったのです。

伊丹市山田の青面金剛祭所

「青面金剛祭所」の石碑があり、薬師如来と十一面観世音菩薩、地蔵菩薩が祀られています。
 祠の中には、見事な金ぴかの厨子が・・・ 御開帳される日があるのでしょうか。

今日は、ここまで