【詩のようなもの】雨の中の二人

愛してほしかった
ただそれだけを望んでいたのに
身体も心も愛を得るために
わたしは使い方を間違えたの?
あなたはいつも戸惑い
悲しい目で見つめる
それでも聞きたかった
あなたの愛の言葉を
この目の前に見せてほしかった
あなたの愛のカタチを
言葉の「愛している」を
何度も求め
言葉の「愛している」を
砂のようにしてしまい
指の隙間から落ちていくのを見つめて
涙だけは枯れることはなかった
近くなればなるほど
抱かれれば抱かれるほど
もっともっと溶け合いたくて
やがて水のように一つになりたくて
わたしは悲しくなくても泣くようになった
雨の中あなたはわたしを抱きしめて
一言だけ囁いた
「大好きだよ」
子供のような優しい口調に
わたしのヒビの入った心が
溢れる愛で包まれるのを感じた
わたしは
ただあなたをひたむきに愛せばよかっただけ
ただあなたをひたむきに愛おしく思うだけ
それだけでよかった
わたしもあなたが

「大好き」

雨が温かだった

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