新芽

いつもの駅が遠ざかっていく
見慣れた景色が流れていく
そしていつもの駅で僕は降りる
見慣れたホームや改札口
すれ違う人の顔は変わっていても
同じ人もいて
ほとんどの人がうつむいて
忙しく指を動かす
時間が大切なのか
時間に追われているのか
時間から解放された時に待つのが死なら
時間が全てのものを
かけがえのないものまでも
色褪せさせて朽ちさせていくのなら
新しく種を蒔こう
咲く花も
育つ木々も
見れなくても
新芽さえ拝めれば
時間に解放された死にさえも
生きた証が残るかもしれない



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