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足下になずな輝く小春日和

3月14日。月曜日の冷たい雨風が嘘のような麗らかな小春日和。
力強さを増す陽射しに、足下では可愛らしい白い花が光を放っていました。

しゃがんで見ると、霞草のようなその白い光の絨毯は、薺、なずなの花でした。
そう言えばなずなは早春の花だったかと、歌うように地面を覆うその姿を見て思い出しました。節分草や梅や椿、桜や菊咲一華のように、その花の季節を覚えて心待ちにすることは無かったのですが、目線を下ろしてじっと見ると、それでは勿体無いような可憐な花です。今更ではありますけれど。
言わずとしれた春の七草。しかし花の印象はさほどありませんでした。
また、よく見るとペンペン草のような果実があります。いや、「ような」ではなく、ペンペン草はなずなの別称だったのですね。
それすらも今日知ったと言う無知な私です。
罪とまでは言わぬまでも、無知はもったいないとしみじみと感じ入る今日この頃。
しかし、ペンペン草も生えないとは、ひどい荒地を指す言葉として使われていますし、逆に言えば、それだけどこにでも生えているぺんぺん草ことなずな。そんな周囲に目立たず生えているなずなですが生薬としても有効なのだとか。
可愛らしく逞しいだけではないのですね。

「よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな」
芭蕉さんが深川の庵で詠まれた句なのだとか。
私もこれからは、早春を表す花の一つとして、なずなを心に留めたいと思います。

いつも以上に取り止めのない雑感でした。


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