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2018年に読んだオススメの本

2018年に読んだ本の中で「これは面白かった!ぜひ読んで欲しい!」というものをいくつかご紹介していきます。あくまで2018年に読んだものですので、今年発売した本に限らない点はご了承ください。


『やがて君になる』

仲谷鳰さんによるマンガ『やがて君になる』、今年放映されたアニメをきっかけに読み始めたのですが、これがもうめちゃくちゃに面白かったです。ストーリーとキャラの心理描写が抜群に良く、苦しいほどに切ない物語にぐいぐいと引き込まれてしまいました。ふとした表情や視線、コマとコマの間に見え隠れするセリフには現れない感情が、ぐさぐさと胸に突き刺さってドキドキが止まりません。

絵も綺麗で読みやすく、むしろ何度も読み返す中で小さな発見が見つかる作品だと思います。少女たちの心の変化はとても繊細で美しく、告げる言葉と閉じ込める言葉の違いに胸が張り裂けそうで、とにかくその全てが愛おしくてたまりません。


『その日、朱音は空を飛んだ』

その日、朱音は空を飛んだ』は、『響け!ユーフォニアム』の原作者である武田綾乃さんの新作長編小説です。

高校の屋上から飛び降りた少女の死の真相を探るスクールミステリ。章ごとにクラスメイトたちが一人ずつ事件について語りながら物語は進みますが、その内容がとにかく生々しく、容赦のないドロドロした暗い感情が吐き出されていきます。けれど、不思議とそこに不快感はありません。物語のテンポの良さや文章を読ませる技術もさることながら、登場人物たちの心理描写が実に見事でリアリティがあるからだと私は思います。

特に中盤から物語がぐっと面白くなり、終盤はもうページをめくる手が止まりません。今年読んだ小説の中でも群を抜いて面白いと感じました。ユーフォシリーズからの影響で作家買いした小説でしたが、これまでのものとは一線を画する作品だと思います。傑作と言っていい。

来年以降も、武田綾乃さんから目が離せません。


『日本の色図鑑』

日本の伝統色についてわかりやすくまとめられた『日本の色図鑑』。この本は内容のみならず装丁デザインが抜群に良く、特に紙の本として見開いた状態が最高に美しい一冊です。今年読んだ本の中で最もデザインの技術とセンスが素晴らしいと私は感じました。

同出版社からは『子どもと一緒に覚えたいシリーズ』として『道草の名前』、『野鳥の名前』、『毒生物の名前』なども出版されていますが、これらも装丁が本当に素晴らしく、内容も分かりやすいので、親御さんがお子様と一緒に読む本としてもオススメしたいです。

ページを眺める視覚的な面白さ、紙をめくる触覚的な楽しさ、それらは電子書籍では味わえない、紙の本ならではの大きな強みです。一家に一冊あると嬉しい、これらはそういう本だと私は思います。


『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』

今年から新設された本屋大賞のノンフィクション部門Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」にもノミネートされた『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』、本当にこの本は面白かった。

本の行商について調べる著者は実際に村を訪れ、各地を旅し、色々な人に話を聞いていきます。その語り口がなんとも優しく楽しげで、実際に旅をしているかのような心地良さを感じることができる文章です。どうしてモンテレッジォの人々が本を売り歩くようになったのか、そしてその行為が後世の歴史にどんな影響を与えたのか、読めば読むほど、私は「本という文化」をますます好きになることができました。

昨今、出版不況だなんだと業界からはごたごたした話が聞き漏れて暗澹たる気持ちになることもあります。けれども、このような素晴らしい本が出版されているという事実に、大きな喜びも感じます。この本で描かれているものは遠い過去の物語ですが、遠い未来を感じさせる希望のある一冊だと、私は思いました。

2018年の一冊を選ぶならば、私はこの本を選びたいです。


その他、2018年の印象深い本としては、村山早紀さんの『星をつなぐ手』が前作『桜風堂ものがたり』に引き続き素晴らしい一冊でした。桜風堂シリーズは本当に勇気をもらえる作品です。

また、アレックス・シアラーさんの『ガラスと封筒と海と』、朝比奈蓉子さんの『わたしの苦手なあの子』も良かったです。大人にこそ読んでもらいたい小説がまだまだいっぱいあります。

ジェイムズ・リーバンクスさんの『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』、ロバート・ムーアさんの『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学』、石川直樹さんの『極北へ』といった良質なノンフィクションを読めたのも、今年の嬉しいことでした。エクスナレッジの『オオカミと野生のイヌ』もボリューム満点で大満足な一冊です。

他にもたくさんの本を読みました。今年は例年に比べて読んだ本が少なかったように感じますが、質の良い本に多く出会えた気がします。何はともあれ、来年もたくさんの面白い本に出会えることを願いたいです。

そして2019年は、このnoteでたくさんの本を紹介していきたいと思います。読書の面白さを少しでもお伝えしていきたい。ですから、これからどうぞよろしく!


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