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サくら&りんゴ #65 日々の小さなこと。

ずっと遠くを、日常から離れた向こうばかりを見ていて、だからふっと我に返ったとき、やらなければいけない事が目の前に迫っていたことに気づく。(あぶない、あぶない)

日本に戻る航空券の予約!
冬場に一時帰国のつもりでいるが、以前予約した羽田便がキャンセルになって、チケットが保留状態のままであった。フライトも規制もしょっちゅう変更され把握しきれないでいる。
見ると羽田便が復活の様なので調べると、なんとビジネスクラスのみとある。
どーゆこと?

そこへ日本政府の水際対策で日本入国時の規制変更の発表があった。

こちらも調べると、理解困難!
翌日にはフローチャートなるものも示されて、自分のケースを把握できるようになったが、それでもどうゆこと?である。
時間を見計らって真夜中に厚労省水際対策コールセンターに電話するもつながらず。Youtubeでみると、どうやら理解不能で電話が殺到しているらしい(だよね~)。だって日本国籍の帰国者をはねて、ビジネスで来る外国人渡航者に隔離の規制緩和をするのだから!しかしそちらにしても提出書類が半端なさそうである。

以前トロントの日本大使館にワクチン証明について問い合わせたら、カナダ発行分(国に寄って認められない物あり、要注意)は日本入国時スマホに入っているもので有効だと返答があった。なのに今は提出の必要があると変更になっている。
と言うことはプリントアウトしなくてはいけない。
しかしウチのプリンターが先日から壊れている!
PCR検査もしかり。
日本向けフォーマットが決まっていて、つまり医師にそれに記入してもらう必要があるのでオンライン検査が受けられない。そのフォーマットを使わずにいて日本の基準と合わず送り返されている人がいるのだ。
しかし、日本到着時に再度PCR検査をするわけで、この国外搭乗時の陰性証明書のフォーマットが日本仕様である必要性が今ひとつ私には理解できない!

しかしルールに従うしかないではないか? 
近くのライブラリーまで行って、ワクチン証明とPCR検査用の記入書類をプリントアウトしなければ。


以前なら、あれやこれやと舞い込んで来ると気持ちが焦ったものだ。しかし最近は焦るエネルギーもない。
焦ったり、神経質になるにもちゃんとエネルギーがなければ出来ない事だと思った次第である。

そんな中、ちょっと嬉しい物が到着。
以前、Etsyと言うサイトでオーダーしたハンドメイドのパッチワークブランケットが出来上がって来たのである。

何度かメッセージを交換して、色の好みや使用用途を伝えてあった。しかしそれは6月の話である。

たいていは1か月で仕上がるのだけれど、作業場の引っ越しのため遅れるわ、大丈夫かしら?2か月以上にはならないけれど。

そう作者のアンから来ていたので、9月には仕上がって来るかなと思っていた。
しかし気づけば10月。
いったいどうなったかとメッセージを送ると、アンからは遅れを詫びると同時に色のコンビネーション確認の写真がやってきた(え?まだそんな段階?)

いくつかのピースと色合いを調整してもらって、さらに待つ。

前払いしているわけで、これは詐欺だったのではと考えたくなったころであった。
覚えのないアマゾンの箱が玄関ポーチに到着している。

開けるとブランケットが何の包装もなく、しかし丁寧に折りたたまれて入っていた。
広げてみるとそれは私が望んだとおりの、湖と空の蒼色と、壁の卵色を組み合わせたキルト。
湖の見える部屋で使うと伝えてあったので、キルトのいくつかのピースや裏地に水の泡のデザイン。
晴れた日の湖のベービーブルー、曇りの日の灰緑、そして夜のネイビーブルーがそのあぶくとつなぎ合わされ広がっている。

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手に取って近くでみると、どのステッチもとても丁寧に仕上げられている。

そしてこんなカードも添えられていた。

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待ったかいがあったと思ってもらえるといいのだけれど、とある。

私は嬉しくて、湖の見える窓のそばにキルトを置きその写真をアンに送る。

待ったかいがありました!

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しかし考えてみると、多くても2か月といって結局かかったのは4か月。
キルト自体はとても気に入ったが、どう見ても時間かけすぎだろ~と評価は☆4つにしておいた。

それでも柔らかい色合いと丁寧な手触りのキルトに私の頬はウフフと緩む。
小さなしあわせである。

もともとブランド物や高価な物には興味がない(釣り合わない)たちではあったが、服の色の組み合わせだとか、バッグの手触りだとか、小さな小さなピアスの形だとか、あのおかずに合うこの食器だとか、そんな些細な事に気をかけて、そんなことをこよなく愛して来た。

しかし夫との怒涛の日々が訪れてからは、それもすっかり忘れて、それどころか自分への関心さえも失ってしまっていた。

泡のデザインのキルトのひとひらが、私の興味をそっと手元に引き戻してくれた。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。