夜に自転車を走らせる話
タイトルを思いついて書いたときYOASOBIが頭の片隅を駆けていった。
中学生〜高校生、夜中に親に内緒で特に行き先もなく自転車を乗って少しだけ遠くに行った事はあるだろうか?
私は一度だけある。確か中学2年の夏だった。
確か時間は午前2時、その当時私はBUMPは天体観測しか知らなかった。
親が起きないように足音を殺して階段を降り、泥棒の様に気づかない音量で鍵を開けて閉め、あてもなく自転車を漕ぎ出した。
光っているのは外灯だけでひたすら自転車を行き先も決めないまま漕いだ。流れる音楽はPSPからだった。当時好きだったボカロとかアニソンとかあとは背伸びをして聞いたよく覚えていないバンドの曲が何曲か、
漕ぎ出して30分、夜といっても夏なのですぐに喉が渇いた。
畑のど真ん中にポツンと一軒コンビニが建っていた。出来立てだったのを覚えている。
当時お小遣い制では無かったのでお年玉貯金を数千円持って来ていた。さぁ、お年玉を使うんだしどんな飲み物を買おうと息巻いていた。
当時はコンビニで買い物なんかほとんどした事が無く、コンビニの中がひどく広く感じられた。やる気のなさそうな店員がジロっとこちらを見てきた。補導される、と何故か思いその場にあった飲み物を手に取って会計を済ませて急いで外に出た。
買った飲み物はチェリオの青いでかい何味かよく分からない炭酸飲料だった。
焦っているにしてももっと良いチョイスがあったんじゃないかと今でも青い飲み物を見ると思い出す。
でも味はなんかはどうでも良かった。
いけない事をしている感覚を得たかったのだ。
それから記憶はあまりない、気付いたら家の駐輪場まで来ていた。青い炭酸飲料も無くなっていた。
家を出た順序の逆をしてこっそり部屋まで戻った。その夜はドキドキして眠れなかった。
と、長い長い回想を文字に書き出してみた。
この感覚と同じ気持ちについ昨日自転車を夜に漕いでいる時に思い出したのだ。
PSPがiPhoneになってイヤホンがワイヤレスになってチェリオが檸檬堂に変わっただけ。
根っこと自転車ってのはいつまで経っても変わらない。
なんて事ない日常の一コマがこんなに鮮明に思い出させられたこの土地には何かあるのかも知れないと思うと明日からもワクワクする。
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