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中編・短編小説集

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kazumaの中編・短編小説集です。
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#ファンタジー小説部門

「君は花束を忘れた」

 気が付いた時には列車に乗っていた。覚えているのは八月の暑苦しい日に一番線のホームにやってくる列車の光を見ていたことだ。頭上の電光掲示板には「回送列車」と書かれていた。それが何時何分発だったとか、どの方面に向かう列車だったとか、そういうことは覚えていない。次の瞬間には銀色の冷たいアルミの手すりを掴んでいた。車窓からは等間隔に現れる電柱と架線が流れていって、いつ終わるとも知れない線路が続いていた。車体はつねに緩やかに傾斜しているようで、線路の上を走る車輪が軋む音がした。辺りを見