マガジンのカバー画像

詩作

8
kazumaの詩を書く試み。試作、思索、詩作。
運営しているクリエイター

#眠れない夜に

詩作Ⅳ「海辺のナポリタン」

海辺の街に 君はいて ナポリタン 作ってもらう 夢だった、 カモメと 飛行機が 空を追いかけっこ 僕はテトラポッドのない街で暮らす ピーマンと、玉ねぎを、炒める 貝殻のなかで眠っていた頃 潮騒は遠く 夜は更けて 背中合わせに歩いていった 砂浜の先は十字路 口を拭う 硝子みたいな真夜中 波の音がする そして、ケチャップを口につけた君を 忘れた <作者あとがき> ナポリタン、誰かに作ってもらうのが夢でした(が、今日も自分で作りました)。ピーマン

詩作Ⅲ 鳥に生まれなかったわたしは

鴨は 飛べる アヒルは 飛べない 合鴨は 鴨とアヒルの 合いの子だから 飛べるかどうかは 分からない 父と 母は 羽根を持たない 鳥に生まれなかった わたしは 水辺を離れ 家を去り 遠い よだかの翼に 抱かれて あの星のひかりを つかんで 飛ぶ わたしは 合鴨のもとへ 降り立ち 君は 飛べる とささやく よだかは かならず 君を 迎えに来る 鳥に生まれなかった すべてのものの 朝 【作者あとがき】 あけましておめでとうございます。もの書きのka