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詩作

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kazumaの詩を書く試み。試作、思索、詩作。
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#創作

詩作Ⅴ『蛙の雨合羽』

蛙の雨合羽 着込んだ少年は 五月雨雲の 橋の上 「蛙の子は、蛙。」 はやし立てる声がする 細い腕に 合羽の袖を通し  向こう岸へと消える がらんどうの街に 蛙の子が紛れ込み、 ひとっこいない高架橋  霧雨の朝 君は川へ飛び込んだ この合羽は取れなくて、 剥がそうとしても駄目で、 雨の日じゃないと息が苦しい、 ねえ、ひとに生まれればよかったな、 だからさ 橋の欄干で 鯉みたいな 雨粒が跳ねて ドレミファソラシの音がする 高い方のド、の音は聞こえな