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詩作

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kazumaの詩を書く試み。試作、思索、詩作。
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#もの書き

詩作Ⅱ 「星のまたたき」

星が瞬く 君がまばたきする 私は草 砂上にくずおれる 一本の葦 目を瞑って、遠い夜空へと駆けるとんびの羽根を拾う 私の目に帳が降りるころ、あなたは目を覚ます この世の果てまで鳴り響く鬨の声を聞いて 午前二時 布団をめくり上げ、頭を掻きむしり 蛇口から捻り出した水道水にすがりつく私を あなただけが見つめている 烏が朝を目がけて飛び、樅の木の天辺を明け渡したあとも あなただけがそこにいる 君の瞳の中には夜がいて、 その夜の中には星があり、 私はただ一枚の羽

詩作Ⅰ 「月の泪」

 月面は湖上に在らず、天上の水面に映るのみ  湖上を覗き見て、映るは雪の燈明、世の幻  鏡面世界に人は棲みて、愁えることを知らず  未だその眼で月光を看ることは能わず  霧の中で嬰児のごとく眠る   夢は儚く散りぬるを  落葉、煎じ詰めればひとに同じ  湖上に落つる葉 葉面に降り注ぐ月の雨  誰がこの幻を覚えていよう  我等は唯、水面をかき分け  鏡の中の月光を浴し  疑いもなく水底に沈む  月から落つる泪 さざれ石  kazuma あとがき