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まる男もおにぎりを喰らえ

1973年生まれのまる男は小学校1年の頃から、ある理由でプロも通うボクシングジムで学校以外、ボクシング漬けだった。そして、中学校、友達に誘われて野球部に入る。運動神経は怪物だけど、常識のだいぶずれた少年の物語である。


 まる男には行きつけのコンビニがある。ジムの帰りにジュースを買うのが日課なのだ。その為、そのコンビニの店長と仲良くなった。この日もコンビニへ行くと店長が話しかけてきた。
「食べ物とか棚の後ろの方から取るお客さんがいるんだよね。手前のやつが残って、捨てなくちゃいけないのが本当に腹立つ」
店長はまる男とはタメ口で話す。
「そうだよねー。外国では満足に食べられない人もいるのに、後ろの方から取るっていうのは、彼らにいきわたる食糧を捨てるのと同じ行為だよねー」
まる男は店長が人権問題を言っているのだという前提で話した。店長は
「そうそう。まったく、信じられないよ」と時計を見る。
「あーそろそろ帰んなきゃ。おにぎり買って帰ろう」
と、おにぎり売り場へ行き、棚の後ろの方に陳列してあるおにぎりを取ってレジへ向かった。
まる男は口をパクパクしつつ店長を指さしていた。


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