見出し画像

2020年は、2021年は。

『蹴球症候群』購読者の方々、2020年、本当にありがとうございました。僕の記憶が正しければ2019年の末ごろからこのマガジンをスタートしたので、2020年はまるまる1年間、記事を更新し続けたことになります。当初は、書きまくったり逆に書けなかったり、不規則ではありましたが、最近は週に1回きっちりと書けていたのではないかと思います。

今年は、個人的に一生忘れない年になりました。もしかしたら、皆さんにとってもそうだったのかもしれません。自分は、アルゼンチン生活最後の年で、コロナがなければ、アメリカやヨーロッパにサッカーを観に行ったり、アルゼンチン国内を周ったり、やっと言語的にも生活的にもやっと余裕ができので、本当にいろんなことにチャレンジをしようと思っていた年でした。蓋を開けてみれば、アルゼンチンでは約250日間のロックダウンで、最後の1週間をのぞいて、ずっと、ひとり家の中で、いろんなことを考えていました。人間は考える時間が過度にあると、これまで考えたこともなかったような事柄や、気づかないふりをしていた自分の感情などに、向き合うことになります。それは「苦痛」にも似たような作業で、特に半年が過ぎたあたりは非常に精神がやられていたことを、思い出します。それが成長に繋がったのだと確かな手応えを感じることができるのは、おそらく、もう少し後のことになるのかなあと、思っています。

もちろん、自分という人間の価値観を、あらゆる角度から刺激したのも2020年でした。外国でひとり、自分が一体何をしているのか自問自答を繰り返しながら"生きた"時間は、人の大切さや、日常の美しさに気付かせてくれました。日本に帰ってきた今でも、人生や日常に対する価値観の変化を、ものすごく強く感じています。

僕はアルゼンチンにサッカーを学びに行ったわけですが、当時なんとなくわかっていたように、「サッカーよりも大切なことがあるのだ」ということを猛烈に学んだ気がします。彼らはそれをわかっていて、だからこそ、サッカーと向き合いながら、恋人や、友人や、家族との時間を、ものすごく大切にするのだと。きっと彼らはそこからまたサッカーというスポーツを学んでいるのだと。僕は、サッカーや仕事以外のことを大切に出来ていたのでしょうか…

後悔をしていますか?と聞かれれば、2020年も、アルゼンチンにいた3年間も、「いいえ」と自信を持っていうことができます。

最低限目標にしていた「プロライセンスの取得」に関しては、無事達成することができました。最後の年はオンラインになってしまいましたが、それはそれで、掛け替えのない経験だったなと感じています。

スクリーンショット 2020-12-10 7.03.33

スクリーンショット 2020-12-10 7.02.49

今思えば、何にもスペイン語がわからないくせに、よくひとりで行ったなあなんて思いますが、人生とは、そういうものなのかもしれません。誰一人差別をせず、優しく受け入れてくれた学校の関係者や、指導者仲間達には、必ず結果を出して恩返しをしたいです。

これで。僕のサッカー人生をかけて日本の指導者ライセンス制度に異議を申す準備は整いました。あとは、結果だけです。

ポチェッティーノやクレスポ、ベカセセの講義を聞くことが出来たのも、コロナのおかげですしね。悪いことばかりではありません。

画像3

スクリーンショット 2020-07-24 19.14.46

スクリーンショット 2020-07-31 21.25.27

スクリーンショット 2020-08-02 19.04.16

アルゼンチン人に見せても恥ずかしくないサッカーを、日本で表現します。


日本に帰ってきて、しばらくが経ちました。帰国して2週間のホテル生活を終えてからは、休む暇もなく怒涛のように時間が経ちましたが、その少ない時間の中でもたくさんのことを学びました。やはり、一時帰国をしていた時とは同じ日本でも全然違う見え方があって、感じることも全然違います。少しずつ日本での生活に戻っていくことを、実感しています。

来年は、自分にとって、人生でもっとも大きな挑戦が始まる年です。大きなワクワクと少しの不安と向き合いながら、粛々と準備を進めています。サッカー監督として生きていくために、上の舞台に立つために、理想の姿になるために、この1年、2年、3年が自分にとって最大の勝負どころです。ここでコケれば、監督としての未来は消えると、自覚していますしその覚悟です。

来年以降は、自分のひとつの役割として、よりいっそう社会問題や課題に向き合っていきたいと思います。これまでも知ろうというできる範囲の努力や、NPOでの活動、また寄付などを通じて「向き合ってきた」つもりでしたが、「つもり」を超えることはなかったと思います。世界中で見てきた景色や、アルゼンチンで得た経験、日本に帰国してからリアル触れる出来事、そういったことを経て、歳を重ねるつれてわかってきた「自分の社会における役割」を、少しずつはたしていきたいと思います。ここには書けませんが、昨日自分の身に起こった出来事は、いま日本にある問題を自分に突きつけ、なにもせずにお前は死んでいくのかと、強い何かを感じました。自分がいかに守られた環境で生きてきたか、人間らしい生活すら出来ない人や子供が日本にもたくさんいること、そういうことを忘れずに、生きていこうと思います。

また来年は、本を出します。やっと書き始めましたが、やっぱり、初めてなので難しい難しい…。でも、大好きな本の世界に、自分が書いたものが足される喜びを感じながら、頑張って執筆します。サッカーやスポーツに関する理論の話なので、一般的なものではないかもしれませんが、内容には自信があるので、ぜひ発売したら買って読んでやってください。


長くなりましたが、最後に、改めて今自分が強く感じていることを書いて、年末のご挨拶とさせてください。

ここから先は

383字
サッカー、またはサッカー以外の分野から日々何を学んでいて、何に気付いて、何に疑問をもち、どんな風に思考を巡らせているのか、そのプロセスにおいてどのような知識や仕組みが必要だったのか…などが書いているマガジンです。記事数は150以上。

蹴球症候群

¥300 / 月

他分野を通してサッカーを解明し、サッカーを通して他分野を解明する

いただいたサポートは、本を買ったり、サッカーを学ぶための費用として大切に使わせて頂きます。応援よろしくお願いします。