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親友の彼は、女子高出身だった。

親友の彼は、女子高出身だった。
彼ほど強くて弱い人を、ぼくは知らない。
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二十歳の初夏の早朝。
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これから向こうに行くね、そう連絡があって
ぼくは "さよなら" を返した。
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彼の人生の功績ともいえる最愛の女性は、
仕事も家も投げ打って、遠くからこちらに越してきた。
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ぼくは彼になって、彼女のはじめてを戴く。
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そのどこまでも深い対話じみたセックスは、
そこに愛がまったく存在していないせいで、
余りにも美しい虚構のように思えた。
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photo by maki|@maki_photo_art
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「ねえ、なんで彼は死んでしまったの?」
久しぶりに想い起こされた、過去の記憶。

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