M-1グランプリ2021準決勝展望前編
25組の準決勝進出者が発表された今年のM-1グランプリ。今年はどのような大会になるだろうか。楽しみでならない。
準決勝に進出した組について個人的な思いを述べながら、2021年の最高の舞台に立つ10組を予想したいと思う。
前編では、決勝進出経験者を中心に見ていきたい。
3回戦の配信を見る前から、今年の優勝候補は見取り図とオズワルドだろうと思っていた。そう思っている人は少なくないだろう。
3回戦を見てもその気持ちは変わらなかった。
しかし、決勝進出がお馴染みになればなるほど、優勝は難しくなることは周知の事実。お馴染みの組が初めて見る面白い組に勝つのは簡単ではない。去年のおいでやすこが、一昨年のミルクボーイのように、面白さと新鮮さが交われば、それに打ち勝つのは至難の業である。話は逸れるが9度目の決勝で優勝を果たした笑い飯は、本当に素晴らしい偉業であると言える。
とは言えやはりこの2組は優勝候補筆頭と言って差し支えない。テレビの露出が増え、ネタを見る機会も増えたが、ミキやEXITのような食傷感はなく、面白味が広がっているように感じる。
それはネタに中身があってしっかり面白く、それぞれの“人”の魅力が滲み出ているからだと思う。
準決勝、そして決勝がこの2組を中心に繰り広げられても何ら不思議はない。
続いて、前述の2組の他に、昨年から連続して決勝進出を目指すのが、インディアンス、錦鯉、東京ホテイソン、ニューヨークの4組。
この中で決勝進出の可能性を最も秘めているのは、ニューヨーク、続いて錦鯉か。
いずれも、売れっ子であり、漫才が鈍ってもおかしくないが、そんな気配がないことは準決勝進出の事実が物語っている。
ニューヨークは安定して面白いが爆発力にかける。錦鯉は爆発力を秘めるが、波がある。そういった印象が残る。
インディアンス、東京ホテイソンについては、3回戦を見る限りは、今年の決勝は厳しいかと思われたが、どちらも地肩と熱い想いのあるコンビである。昨年からの進化に期待したい。
他に決勝進出経験組では、さや香、からし蓮根、ゆにばーすがいる。
しゃべくり漫才のさや香はネタの切り口が豊富で感心させられる。ネタのチョイスを間違わず、準決勝の会場で大きな波に乗ることができれば、4年ぶりの決勝進出も見えて来るかもしれない。
漫才コントのからし蓮根は、ボケの発想とツッコミのワードセンス。これまでのそれなりに面白いネタを超える何かが必要だと感じる。
ディベートネタを仕上げてきているゆにばーす。昨年の予選で見せたネタを、3回戦では超えられていなかったように感じさせたが、違いを見せつける何かを見せることはできるだろうか。
前編の最後は、ラストイヤーの2組。
決勝進出経験者でもあるハライチと、最近テレビでも好調のアルコ&ピースだ。
バラエティ番組でも既にお馴染みのこの2組のラストイヤーでのM-1参戦をまずは賞賛したい。
経験豊富なこの2組のネタの実力を疑う余地はない。
ハライチは、代名詞のノリボケ漫才ではないネタでもやはりクオリティが高く、キャラクターも知れ渡っており、ウケやすい。しかし“テレビでお馴染み”というのが、これまでM-1の舞台で大きな武器になったかと言われると、そうではない。やはり、それを超える大きな何かがないと決勝の舞台で輝くには難しいと思われる。
アルコ&ピースには実は参戦を知った時から大きな期待を寄せていた。テレビでの最近の活躍。キャラクター。ラストイヤー。かつてTHE MANZAIで輝いたネタの発想。
もしかしたらラストイヤーで優勝という、得意のドラマチックな展開も充分可能性があるのではないか。
しかし、3回戦のネタを見て、その思いは疑問に変わる。2012年の大舞台で見せたネタの劣化版とも言えるネタだったと感じた。
準決進出も厳しいかと思ったが、しっかりと残ってきた。3回戦を超える何かがあるのだろうか。もし、あるのであれば、今年はこのベテランコンビが日本中に“漫才論争”を巻き起こすことになるかもしれない。
長くなってきたので、「前編」として、ひとまずこの辺りで筆を置こうと思う。
後編では、今回触れた11組以外の14組について、そして決勝進出予想をしていきたいと思う。
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