029_20230524_ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-

基本情報

  • 集英社「僕のヒーローアカデミア」の外伝・スピンオフ作品

    • 原作:堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』

    • 脚本:古橋秀之

    • 作画:別天荒人

  • 集英社のWEBコミックサービス『少年ジャンプ+』で連載していた

    • 全15巻、完結済み

大まかな紹介

主人公である灰廻航一は、平凡で冴えない日々を送るごく普通の大学生。
そんな彼のひそかな楽しみは、夜中にコスプレ姿で街を徘徊し、『親切マン』を名乗って街の人々に「ボランティア」という形で、彼なりのヒーロー活動をすることだった。

そんなある日、いつものように人助けに勤しんでいた彼は、街頭で歌と踊りを披露する自称フリーアイドルの少女『ポップ☆ステップ』と出会う。
空を飛ぶ個性を持つ彼女にどことなく羨ましさを感じた航一は、チンピラに絡まれた彼女を颯爽と救け出そうとするが、彼もまた返り討ちにあってチンピラ達に追いつめられることに。
そこに突如として乱入してきた謎の覆面男『ナックルダスター』によって窮地を救われた航一とホップ☆ステップは、なし崩し的に彼の『自警活動』に巻き込まれいくことになる。

時代は世界人口の8割が超常能力を持つ超人社会。
大きな事故や大暴れする敵がいればプロヒーローがすぐに駆け付けるが、ヒーローだって暇じゃない。ただのゴロツキだって時には人を殺す。
そんな日常に潜む身近な脅威に対して、航一、ナックルダスター、そしてポップ☆ステップの3人は『非合法(イリーガル)のヒーロー』ヴィジランテとして立ち向かっていく。

独自解説

  • 本編開始の10年前くらいの話

    • 本編主人公のイズク・デクは小学生だし、本編に影響与えちゃうので出ないし出れない

  • 個性黎明期にヒーローに関する整備が成っておらず曖昧だった時に活躍した「ビジランテ(自警団)」というのが過去在った、っていう設定に基づいた世界間

    • 作品の時空でももう「ヒーロー」という職業は確立してるけど、草の根活動として正義のボランティアしている人々という感じ

    • 「昔そんなのあったよね」って言う認識かつ、法律的にはグレーゾーンな同好会、なことは市民たちも解ってる様子

  • 本編のキャラ構成の変則ミニチュア版、みたいな感じがした

    • 主人公: 灰廻 航一 -> 最初弱小、努力の人 -> デクを連想

    • ヒロイン: 羽根山 和歩 -> 機動力の少女 -> おちゃこを連想

    • チームの強い人兼師匠 -> ナックルダスター -> 能力を失いつつある強者 -> オールマイトを連想

  • 本編は「能力を磨いていく(主人公以外)」って世界観だが、本作は「努力で能力が拡張(新能力を得れる)できる」という世界観

    • 自分の解釈なのですが、主人公は「能力が増えてってる」ので、本編よりはシビアでない世界観

    • 本編では「使い方を磨いてる」けど「脱皮能力」「手術(足のバルブを抜く)」などしないと「能力が変わる」わけではない

  • 本編に居る悪(ヴィラン)から見ると、一つ前の世代の悪のお話

    • ちゃんと独立したキャラ建てとして、敵は居る

    • そして、本編は「その歴史」もうすーくつながっている、その出来事を踏まえた、みたいな歴史になってる

感想

  • 外伝やスピンオフの「理想的関係な作品」に思えた

    • 外伝自体は「オプション」であり、完全に「無くても本編は存在できる」という独立性

      • だから、依存関係の矢印である本編から外伝には影響を与えるが、外伝から本編は”絶対に”影響を与えない、を実現できてる

    • ちゃんと本編の作者が原作をしており、整合性や統一感は出てる

      • なんなら、キャラデザインして外伝に下ろして来てる

    • 時空が違う本編からの「ゲストキャラ」や「過去のエピソード」など、双方を読んでるファンには

  • 外伝やスピンオフを描く場合の苦労や、作者同志の交流を垣間見えて、とてもとても幸福感あった

    • そこに見えるのは「お互いをリスペクトしあう」という良い関係と、マンガへの好影響

      • もちろん、ビジネスとしてやってるのだから、100%自然に培われた関係ではないけれど

    • スピンオフ書く側は「堀越先生から大量の設定を頂きました」「原作からゲスト借りてきました」と前向きな言葉

    • 本家の作者は「なんと!あの自分が昔観ていた別天先生がですよ?」というリスペクト

  • 双方が「作品の整合性を維持した状況で、自分の個性もだしつつ全力で描く」みたいな感じがワクワクする

    • 「堀越先生の原作ではたったヒトコマのキャラですけど、膨らまして描くのはおもしろいです」のような「描いてみたい」「描いてておもしろい」という言葉に溢れてる

    • 無論「わりと画風が違う」「大分作風が違う」という感じはあるのだけど、自由度最大でかけてる感じする

  • 作品内容としてスキだったのは「本編で薄くしか描かない過去編を解像度を上げてきっちり”出来事”として描エピソード描いている・補完している」というところ

    • NARUTOでいえば「カカシ先生の写輪眼取得のエピソード(戦場のボーイズライフ)は、同時進行で別作品で描いている」ような感じ

    • 「ああ、その3人の関係は、外伝みりゃバッチリわかるよ」みたいな話

  • サイズ感もすばらしい

    • 15巻できっちり完結するし、爽やかな読後感

  • 整合性もばっちり、きっちり補完しあってる

    • 「一つの街」程度にスケール感は少し小さくしつつも「今世界で起こってる驚異の準備はこうなってたのか」みたいな出来事にしてあって、なるほどと思う

    • 設定を破綻させなかった竜虎の券と餓狼伝説みたいな関係

  • ただ、主人公がご都合に奇跡を起こしすぎたんで、本編登場はすこーし難しいかも?

    • それでも、堀越先生ならええとこで出してきそうに思うけれど

  • 「外伝」や「名前貸し」転じて「アニオリ」とかって好きではなかったんだけど…

    • これは「本編作者がちゃんとつなげてる」ので、世界はこういうのばかりならいいなーって思う

総評

  • ヒロアカを読んでる人、また「ヒロアカ読みたいなー」って思ってる人には、ぜひ読んでほしい作品

    • 実は、順番はどっちからでも構わない…くらいの独立性と整合性がある

  • この作品自体は完結しているし、本編がクライマックスな今、「読むべきはこのタイミング!」という感じでおすすめしたい

    • 本編キャラの「なんでそんなに必死で、なんでそんなに執着するのか」みたいな解像度が上がる


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