028_20230511_金剛寺さんは面倒臭い
基本情報
とよ田 みのる による、少年ラブコメ漫画。
小学館『ゲッサン』2017年10月号から2020年8月号まで連載
全6巻、完結済み
大まかな紹介
このヒロインには、付け入る隙などない!
口を開けば正論!正論!正論!
金剛寺さんはいつも正しい!
おまけに学業優秀&柔道の名手!
隙などまったくない彼女に、
樺山くんは…よりによって恋をした!
彼の運命やいかに!?
面倒臭くてまっすぐな、ロジカルピュアラブストーリー!!
導入
一ページめ、頭にツノをはやし、学生服を着た「鬼」と思しき少年が、2匹のネコを拾おうとしているとこから始まる
「どうしたーのお母さんいないのー?」てことばかけてる
そこに「君!」と声を書ける、これまた制服きたメガネ女子
一ページ見開きで、命の責任論の説教
とんでもなく理屈っぽい
そこに、何の脈略もなく、近所で妊婦が破水
女子曰く「君、そこのコンビニで訳を言ってタオルとベンチ借りてこい!」
タクシーに載せてあげて、感謝を言われる
「せめてお名前を…」に「名乗らなくて良い合理性」について、コレまた理屈っぽくっ返す
でも、鬼の少年には聴かれてないのに名乗る
2年A組の金剛寺金剛だっ!
鬼の少年も名乗る
1年A組の樺山プリンです、地獄から来ました!金剛寺さん好きです!大好きです!
女の子は対落とし
と同時に、ナレーションが入り「鬼が地上にある理由」をわりと雑に説明するが、本編とは関係ないと
翌日、校門前で二人はまた邂逅する
女子「取り乱してすまなかった、改めてオタクに謝罪にうかがいたい」「はい!」
家行くと、凄い数のネコかってる
その数16ひき
「ネコチャーン」って下記文字がおもろいw
鬼には人間のおばあちゃんと住んでて、挨拶を受ける
女子が「君は私の何を好きに成ったのだ?」と聞くと「わかりません、キラキラしてるんです!」
女子は「私はめんどくさいぞ」と、面倒くさいを合理的に理論的に説明「私を誤解してる、お似合いな人を探しなさいn
鬼の少年「優しくないから凄いんです。ただしさが強いから。憧れます」
「僕は面倒くさいところが大好きです」
「私も、君が好きだ!」
その瞬間、産婦人科ではお子が生まれ、いろんな人に「何かが始まる予感」がした
感想
漫画で描いた「文学」な感じがした
文学と言っても、最初らへんの印象だとショートショートというかメタフィクションというか
実況する「俯瞰している神視点ナレーター」は存在する
読後感は「月曜日の友達」に似ている
以前この作品も「文学だ」と言ったと思う、あちらは純文学
濃ゆい感じの「漫画絵」と、独特の世界観、でもたぶん世界系
普通の日常、現在の日本…と見せかけて「地獄とつながって鬼がカジュアルに地上に出てきて、日常生活している」という設定
でも、群像劇という言うほどの人数ではなく、身の回りの人間たちだけで紡がれる世界
作者が「凄く実験的に創作しよう」というのが、ひしひしと伝わる
作者=ナレーター=神的視点、としてちょくちょくメタいこと言うてる
感覚的には「初期〜中期のジョジョのナレーション」に似ている
私達はこの男を知っているッ!!!
色々と「二次元上の実験話」が散見される
例えば、こち亀等でやってた「紙面を縦に分割して、左に向かってストーリーが進む」「最後に合流する」ってやつとか
例えば、ゲームブック風に「読者に3択を提示し、番号へ」みたいなやつとか
例えば、同時並行的に「よくわからないコマで複数の風景を写す」し、最後、バタフライエフェクトのように連鎖して決着つく、とか
例えば、最後の巻で「自身の別作品」とコラボしたり
ま、これはよくやられてる「マルチバース」「スターシステム」の類だから、良いかもやけど
挙句、本編を着地させた後に「蛇足」と自ら称して「読者に何みたい?って募集する」という
なんかの記事で「それだけはやっちゃいかん」とされてるタブー…って見てんけどなー
「読者の意見を参考にするのはいいが、そのまま受け入れるのはだめ」
作中で「面倒くさい」という表現されている「人間の特性」は、自分にとっては「信頼」や「リスペクト」でしかない
「ややこしいこと言うてくる」のは「人の応えを無下にせず全力で対応している」ということで「人間との向き合いに手を抜かない」ということ
自分はそういう「正しくあろうとする人間」が愛おしいと思う
「正しさ」は相対的に変わるし、もしかしたら「無い」場合も珍しくない
だけれども「正しくあろうとする」姿勢は尊いものだと思ってて、男女問わずそういう人はスキ
これは単に個人の好き嫌いだけど
でも「人の成長」がテーマの清涼感のある作品だと思う
消化不良もなければ、理不尽もない、納得のあるたたみ方だと思う
こういう作品大好物
総評
文学的かつ実験的な良作、みうらはスキ
自分のことを「ややこしい」と自覚しつつも苦悩し成長する、そんな人々が愛おしいと思える人にはおすすめ
消化不良とかは無いのでマンガに安心感求める人にはよい…かも?
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