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ヤングケアラーの存在を知ってもらいたい

1.ヤングケアラー とは

「ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どもである」(澁谷智子,2018,pⅰ)

澁谷智子さん著「ヤングケアラー」にて、このように定義されていますが、広く30代くらいまでの「若者ケアラー」を対象に含むという考え方もあります。

実は、この「ヤングケアラー」という言葉ですが、まだウィキペディアに載っていません。このことからも、初めて聞いたという方は、きっと多いのではないでしょうか。

私も前述の書籍を拝読し、初めてその存在を知るとともに、大変考えさせられたのですが、さらに先日、ヤングケアラーを支援するサービス「Yancle(ヤンクル)」代表の宮崎成悟さんのお話を伺う機会があり、その考えを自分なりに深めることができました。
ここに感じたことをまとめます。

■「Yancle(ヤンクル)」につきましては、ぜひこちらをご覧ください↓

この言葉「ヤングケアラー」と、彼らが抱える課題を知っていただけますと幸いです。

2.ヤングケアラーの課題

これは、世間の理解が不足していることによる弊害が大きいのではないかと考えています。
ヤングケアラー自身も、自分が同年代と比較して困難な状況にあることを認識していないことが多くあります。
幼い頃からそのような状況にあると、それが当たり前であり、疑問を抱くことなく成長されます。
そこには、若いが故に、家族との適切な距離感が掴みくいという事情もあります。
これは、大人になってから家族の介護に直面する場合との、大変大きな違いです。

自分自身が、特異な状況にあると気が付かなければ、調べることも、助けを求めることもできません。

だからこそ、周囲の人間が、このような現状を理解することが求められるのです。

また、誰かが気付き、声を掛けたとしても、誰かに相談することで罪悪感を抱いてしまうこともあります(相談すると辛いと感じていると思われるのではないか、親に負い目を感じさせてしまうのではないかと考えてしまいます)。

だとすると、周囲の理解だけではなく、世の中の認識が変わらなければなりません。

3.現時点での自分なりの答え

何が正解なのかはわかりません。
ヤングケアラーに限らず、家族の介護を担う多くの人が大変なご苦労をされていることかと思います。
しかしながら、その苦労の中身も、捉え方も人それぞれです。
周囲が、ただそれを「大変ですね」と労うことでも、「こんな支援もありますよ」と促すことでも(それは相手方によっては正解の一つかもしれませんが)、それで十分ということは決してないでしょう。

でも、困っている人、辛い思いをしている人(自己認識できているかに否かにかかわらず)を放っておくことはできません。まして、そのような人が、これから先増える可能性があるとするなら尚更です(昨今の晩婚化、晩産化からも、その可能性が十分に考えられます)。

「仕事と育児の両立」が少しずつ浸透してきたように、「仕事と介護の両立」が当たり前のものになる日は近いと考えていますが、さらに「生活と介護の両立」と言いましょうか、介護が日常生活の中に、当たり前に存在するものとして認識されることが必要ではないでしょうか。

家族の介護を自身が抱え込むのではなく、社会資源を有効活用し、マネジメントすることが当たり前に。そして、介護を大変なこととしてだけでなく、ポジティブなものとして捉えることができるように。

介護をしたことがあるという経験は、大変貴重なものであると思っています。
「介護職は誰でもできる」なんて言う人もいらっしゃいますが、ただ誰かを生きながらえさせるだけの介護ならば、確かに誰にでもできるかもしれません。ですが、誰かがより良く、自分らしく生活するための介護には、一定の知識と多角的なスキルを必要とします。

この社会に適切に認知されていない「介護の経験やスキル」が、社会的に評価され、胸を張って語れるように、私たち介護業界に携わる人間が、その価値を伝え続けていかなければいけないのだと思います。
そして、ゆくゆくは、ケアラーの雇用率や両立支援施策が、企業価値を高めるインセンディブとなっていくと良いなあと。

4.おわりに

先日、埼玉県では、全国初となるヤングケアラーを支援する条例が県議会で可決、成立しました。これを皮切りに、ヤングケアラーへの支援が全国に広がっていくことを切に願います。

私たち一人ひとりができることを。
介護の大変さを知る一人として、何ができるのだろうかと模索しています。
この手が行き届かない多くの人へ、せめて、少しでも世間の認知が高まり、意識が変わっていくことを期待して、これからも「ヤングケアラー」のことや「介護」のことを発信し続けていきます。

また、この記事を書くきっかけとなった宮崎さんのお話を聞く機会は、KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティ、通称「かいスペ」の企画によるものでした。
こちらでは、毎月様々なイベントが行われるほか、【介護】というテーマの元に集まった多様な職種や立場のメンバーが、日々交流し、知見を深めています。

■KAIGO LEADRESにつきましては、ぜひこちらをご覧ください↓

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

「介護」や「終活」の情報を堅く、重苦しくなく伝えています! その他、「仕事と介護の両立」や「介護職員のキャリア支援」に取り組んでいます。