急急如律令ノ如ク遂行(オコナ)フベシ
使役霊(ドローン)の景色を共有したわたしは、関西軍の敷地を駆ける。麻の三つ揃えと黒の外套は式神の保護をうけ、わたしを支える鎧と化して、風のよう疾(はや)く、忍び寄る闇のように閑(しず)まり、歩みをすすめる。
歩哨の視界を避けて、心斎橋の路地裏を抜けるとけばけばしいネオンに彩られた街並がわたしを出迎えた。山高帽を深く被り、誰とも目を合わせぬよう、人混みにまぎれる。ポン引きの煩わしい声かけや、酔漢やパンパンの破廉恥な嬌声が耳を苛む。
毒々しい光彩に目が慣れてきたころ、わたしの