【ツイート転載】徹底批判 伊藤昌亮「石丸現象とTikTok」(2024.08.14)

伊藤昌亮「石丸現象とTikTok」、『世界』2024年9月号、pp.31-38

現物を買った上で投稿しておりますが、はっきり申し上げますが、ザ・石丸伸二現象現象としか言い様がなく、なんら実りのないものでした。そもそも冒頭でいきなり「とくに若い世代の支持を集めたとされる」と書いていますが、そもそも世代別投票率が公開されているわけでもないのにいきなりそのように言い切ってしまうのは愚かでしかありません(石丸票の中でもいわゆる若者票はいくら高く見積もっても2割程度ではないでしょうか)。

それになんの断りもなく「YouTubeよりTikTokのほうが若い世代の日常的な生活実感に強く結びついており」(p.32)と書いておりますがこれも世代を消費文化で切り分けて「理解」してしまうというマーケティング的な粗雑な「分析」でしかないでしょう。

そしてこの文章では「TikTok石丸動画視聴者=若い石丸支持者」みたいな認識がさも当然であるかのように語られる。それはただ偏見に基づいて語っているものでしかないと思います。それにいわゆる「石丸応援団」は決して若い世代だけではないというのが選挙戦の間からも明らかだったはずです。例えばドトールの創業者とかもそうです。それにいわゆる「切り抜き部隊」だって若い世代というわけではなかったはず。

この映画もそうですよね。明らかにフットワークが速かった。

p.35で語られる「若い世代のリアリティ」もはっきり言って噴飯物です。経済成長の時代を知らず、「世の中がよくなる」実感が持てない、故に「世の中をよくする」的なイメージが届かない?2005年のいわゆる「郵政選挙」のときにも言われていました。

石丸伸二現象現象を形作った言説の多くは、「TikTok」と「(出口調査での)若者の圧倒的支持」を短絡してそこから若い世代に対する俗説や偏見をつなげて、若い世代は左派の「敵」だという雰囲気を醸成するものでしかありません。私としてはむしろそれこそが石丸陣営の「狙い」なんじゃないかと思っています。

それにこれは石丸に限らず、近年の差別主義者や新自由主義者たち、例えば西村博之や歌手じゃない方のDaiGoなどにも見られます。彼らは「若者に人気」というイメージを作り、あるいはメディアが勝手にそう規定することによって、憎悪を「若者」に向けさせ、自分たちはなかなか批判されないという。

「若者の右傾化」論の影響で、我が国の左派においては「反若者」をアイデンティティにしている人間が非常に多い。そんなものに阿った文章を書いてどうするのだ。まさに拙速、としか言い様がありません。

参考資料


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