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ハニ族|和夷と呼ばれた民族

日本人はどこから来たのか?

いつの時代でも、ロマンあるテーマですよね。皆さんはどこから来たと思いますか?ハプロ的には、以前記事に書きましたが、中国から来ていることはほぼ間違いないでしょう。

今回は、もう少し突っ込んで見ていきたいと思います。

雲南省が起源?

このトピックスを少し詳しく調べようとした方は、司馬遼太郎の見解に触れたことがあると思います。

「雲南省で稲作する少数民族が私どもの先祖の一派ではないか、という仮説は、こんにち日本の多くの文化人類学者から魅力をもって唱えられているか、支持されている。私もそのように感じる」(司馬遼太郎)

また、日本の民俗学者である鳥越憲三郎氏の見解は、もっと突っ込んでこの説を唱えています。

鳥越憲三郎氏は、「倭族」の起源地を雲南省の湖滇池(滇池)に比定した。水稲の人工栽培に成功したとし、倭族の一部が日本列島に移住し、また他の倭族と分岐していったとした。分岐したと比定される民族には、イ族、ハニ族 、タイ族、ワ族、ミャオ族、カレン族、ラワ族などがある。

この中で、古代中国での「和夷」に比定されている民族は、イ族とハニ族です。「和」とは、まさしく日本ですね。

ハニ族(哈尼族)の文化

ハニ族は、現在は主に雲南省西南部、紅河西側の哀牢山区にある新平・鎮源・墨江・元江・紅河・元陽・緑春・金平・江城などの県に住んでいる民族です。Baidu百科にもありますが、古代の羌族がルーツのようです。

このハニ族ですが、文化が日本のそれと良く似ているものが多いのです。

<ハニ族の文化>

稲作(米が主食)、棚田、もち米をつく、大豆で味噌や納豆の発酵食品を作る、焼畑農耕の歴史、歌垣、民族舞踊を踊る、多くの神と先祖を崇拝する、野菜の漬物を作る、五穀豊穣を祈って初夏にイナゴを取って食べる…など

日本では1日3食になったのが江戸時代になってからで、歴史的には最近です。それまではずっと1日2食でした。実はハニ族も、1日2食です。

別の機会に書きたいと思いますが、日本各地にイナゴを食べる文化が点在しています。ここにも面白いヒントがあると思っています。

火塘の文化

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私が最も関心を持ったのが、火塘(かとう)と呼ばれる文化を羌族が持ってきたことです。日本の囲炉裏です。

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家庭生活は囲炉裏を中心に営まれている。家族はこれを囲んで休息し、炊事や食事をし、接客する。また囲炉裏の席には定めがあり、神棚に一番近い上座には老人や来客が坐り、向かって右側に男性、左側に女性が年齢順に並ぶ。

(「漢民族の源流を探る」P115より)

古羌がルーツのハニ族のみならず、羌族そのものが、日本と似た文化を持っている。これは地理的なことを考えても、司馬遼太郎の見解は間違ってないように思えます。

やはり雲南起源説、あり得ますね。

改めてハプロのルートを見てみる

ここで再度、ハプログループのルートを振り返ってみます。

ハプロ1 - コピー

中国北方から徐々に南下し、長江文明から枝分かれ。1つは呉越から日本に渡り(倭人)、もう1つは漢民族と混血した後、遼東半島~朝鮮半島から日本に渡った。

羌族も、北方から追われて徐々に南下し、その一部は雲南省あたりでハニ族やイ族として生活圏を築いてきたのは見てきた通りです。稲作は、呉越から直接入ってきた可能性と、中国東北部から朝鮮半島経由で入ってきた可能性の2つがあります。

中国東北部経由のルートは有名だとして、民族写真家・萩原秀三郎氏は「稲作は楚から伝わったか」と唱えています。呉は越王勾践に滅ぼされ、その越を滅ぼしたのは楚ですね。

楚の王族・熊氏が日本に渡来した説も、ハプログループ的観点・文化的観点の両面から、可能性があるということになります。

こう考えてきますと、やはり楚を建国した人々は、羌族の流れを汲む民族であった可能性が強いと思います。稲作は雲南の羌族(ハニ族)から、呉越(楚)や半島経由で、日本に伝播した。

私は、「人と文化」はセットだと思います。

文化だけが勝手に日本にやって来ることはありません。このセットは、ハプログループ的には雲南起源説が合ってるように思えますし、文化的にも今回はハニ族の文化を見てきましたが、やはり雲南起源説を裏付けるものがあると思います。

結論ですが、人も文化も日本のベースの1つとしてあるものは、羌族がルーツだと思われます。よって、羌族である呂不韋が徐福となり、日本に渡ってきたという説の裏付けも、いささか強引かもしれませんが「あり得ない」とは言えないと考えています。「智」の集大成である呂氏春秋と共に日本に渡り、日本各地に「伝説」を巻き起こした。これは古代における産業革命だったに違いありません。

最後に、ハニ族の動画を。田園風景は、どこか懐かしい感じがします。

本日もお読み頂きありがとうございました。

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