【天鳳】平均的な実力だと本当に昇段しやすいのか計算してみた

twitterにて、

1位~4位の確率が全て25%だとして、鳳凰卓で七段原点から昇段する確率と降段する確率はどちらが高いか

という話題が流れてきた。

そしてそのツイートには「昇段する確率の方が高い」と書かれていた。
理屈としては、昇降段ギリギリのポイントの際には、昇段側は1位でも2位でも良いので50%の確率だが、降段側は4位の場合の25%だけだから、というようなことが書いてあった。

たしかに一理あるようには思うけど、しかし一方で天鳳はラスのマイナスが大きいわけで、ラス一発で降段する「射程範囲」は、トップ一発で昇段する射程範囲よりも広いことを考えるとそんな単純な話だろうか、と思った。

ということで自分で検証してみることにした。

前提条件

今回は鳳東のポイント配分で計算してみることにした。
天鳳をよく知らない人に向けて説明すると、天鳳では段位という制度がある。またポイントという数値があり、これが一定の数値に達すると昇段し、逆に0以下になってしまうと降段するシステムになっている。今回扱う七段においては初期ポイントが1400で、2800に到達すれば昇段し、逆に0以下になると降段してしまう。

また天鳳では段位ごとにプレイできるフィールドが分かれていて、七段に到達すると最上位である「鳳凰卓」という所でプレイできるようになる。
この鳳凰卓の東風戦においては、七段のポイント配分は以下のようになっている。

1位:+60
2位:+30
3位:±0
4位:-90

見ての通りラス(4位)のマイナスが大きいのが天鳳の特徴で、通常の麻雀と違ってトップを狙う事よりもラスを回避することが重視される面があったりする。
まぁそれは余談として、とにかくポイントの配分がいびつであるため、昇段と降段のどちらがしやすいのかというのはぱっと見では良く分からない。

この状態でもし1位~4位の各順位をそれぞれ25%の確率で取り続けるプレイヤーが居たら、その人は最終的に昇段と降段のどっちの方が確率的に高くなるのか、というのが今回の調査である。

(なお、実際はポイントとは別にレーティングが2000を下回ると鳳凰卓から除外されるが、今回はそれは考慮に入れないものとする)

調査方法

乱数を使って仮想的に大量に試行を行うシミュレーション方法(モンテカルロシミュレーション)もあるが、今回は違う方法を取ってみた。

ポイントxにおける最終的な昇段確率をP(x)と置くと、

P(x) = {P(x+30) + P(x+60) + P(x-90)}/3 ・・・①

と書くことが出来る。
要は3位になった場合はポイントは変わらないので無視すると、次のポイントはx+30, x+60, x-90のいずれかになり、その確率はそれぞれ等しい。
したがって、それぞれのポイントにおける昇段確率の平均が、今のポイントであるxにおける昇段確率に等しいというのを式に直しただけである。

そして、xが0以下の時はP(x)=0、xが2800以上の時はP(x)=1になるわけで、その両端は固定されていると考える。

そこで最初は両端だけ0と1を入れて、0<x<2800の場合は0.5(適当)になるような数列P(x)を考える。
(ちなみにxは30刻みで取っている。今回は常にポイントの変化が30の倍数なので。)
そしてこの数列P(x)を、全てのxについて①の式を使って更新していく。
最初は両端しか正しい値を知らないので全く間違った数列になっているが、何度も何度も繰り返していくうちに正しいP(x)の値に収束していくはずである。
最終的に更新される量が事実上0になるまで①の式を繰り返し適用した。

結果

上記の計算を行ったところ、原点(1400ポイント)において最終的に昇段する確率は約0.502という結果が得られた。
つまり、極僅かではあるものの、確かに昇段する確率の方が高いという事が示された。
(ちなみに初期値として0<x<2800の場合は0.5に設定したが、ここを適当に別の数字に変えてもきちんと同じ値に収束することを確かめている。)

連敗すると一気にポイントを持って行かれるという経験をしているため、ちょっと不調になるとすぐに降段するというイメージが強かったが、実際はわずかに昇段の方がしやすいというのは完全にイメージとは外れていた。
やっぱり人間は確率的な現象を正しく認識するのは苦手らしい。面白い結果だった。

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