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「念」と映画メッセージ

映画「メッセージ」を見ました。
誰だ、この映画を"ばかうけが浮かぶ"、と宣伝したのは。
めちゃくちゃ傑作じゃないか!

さて、皆さんは、時間の非連続性という話をご存知でしょうか?

ぼくは超のつく文系なので、うまく説明できる自信はないのですが、頑張って説明してみます。

一般的に時間というのは、過去から未来に向けて一方向に進んでいると考えられていますが、実は過去、現在、未来は同時に存在していて、今ある現在が変わると、平行して存在している過去と未来も一緒に変わる、という時間軸の捉え方です。

ですね、自分でもそれっぽく言及してみましたが、まったく理解に体感が伴っておりません。

最近、この時間の非連続性であるとか、平行世界に興味があって、調べていて、見つけたのがこの「メッセージ」です。

さて「メッセージ」に話を戻します。
下記、ネタバレを含みます。
この映画は絶対予備知識なしで見て下さい!

全体的に画面が暗く、映像の動きもゆっくり。出来事を矢継ぎ早に追っかけるようなカメラワークは皆無。どこを切り取っても絵がシンプルで綺麗。説明的な台詞も極力廃していて、主人公の女性の内面世界に深く潜り込んで行くかのような心地良い没入感。

その映像美の伴走者となる音楽のセンスがめちゃくちゃ良い。間違ってもタイアップ曲なんて絶対流れないし、主人公が奇声を発して戦い始めることもない。

監督を調べると、あっやっぱり。
「ブレードランナー2049」のドゥニ・ヴィルヌーブ監督だ。

ストーリーを説明すると、ある日未知の宇宙船が世界中に突如現れて、びっくりする人類。アメリカ軍は、宇宙人の要望が何かを知る為に、彼らの言語の通訳者として言語学者のルイーズに、その依頼をする、というもの。
ぼくの語彙だと、ありがちなストーリーに感じちゃいますが、ほんとっ全く違います。

映画冒頭にルイーズは娘を若くして失う、という回想が描かれる。
ルイーズは、その記憶に時おり苦しまされながら、任務にあたる。

宇宙人と接する内に彼らにも言語があり、彼らの言語は、水墨画のような円を描いた絵のようで、私達の知る言語のように、左から右へ、上から下へと読むような時間軸のある言語とは異なり、時間性のない言語であるということが分かる。

人類の協調が失敗し、人類は彼らに攻撃を仕掛ける判断を下そうとする。

ルイーズはなんとか、その危機を救おうと奮闘する内に彼らの意識とシンクロする。
そこで彼らに、「自分の武器(言葉)を使え」という助言を受ける。

ルイーズの武器、それは実は、彼らの時間性のない言語に接触したことで手にした時間の非連続性という視座を持ったことだった。

分かりやすく言えば、未来が見通せるのだ。

ここで映画を見ていた者は気づく。

冒頭に描かれていた、ルイーズの娘の死という回想は、回想ではなく、これからの未来に起こることなのだと。

ルイーズは今ある危機を救う為に、未来から見えたビジョンで、そのヒントを得る。考えてみれば、これがもうタイムパラドックスな訳だが、ぼくにはもう時間軸が良く分からない。

ルイーズは、若くして死んでしまう娘の未来を知りながらも、娘を産むことを決意する。

今ある瞬間、瞬間を愛する為に。


良く瞑想でも、今ここに意識を集中しなさいと言われますが、ぼくたちが自分の意思で選べるのも、今の自分の意識だったりしますよね。

「今」に「心」と書いて、「念」

「念」を英訳したのが、マインドフルネス。

ここらへんの感覚を「メッセージ」はずどんと突いてきてくれました。
もう一度見ようと思います。

皆さまも是非

それではまた

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