見出し画像

スポーツは人間性を育てる場なのか?

ヨーロッパのプロサッカーリーグはオフシーズンになり、まもなくヨーロッパ各国のナショナルチームが競うEURO2021が始まろうとしている。

日本代表選手に密着取材しているJFA公式YouTubeチャンネルのTeam Camが面白くて、他の国もこういうナショナルチームのYouTubeチャンネルがあるのかと探してみると、イングランドとフランスのものがあった。
探せばもっと他の国もやっているだろう。

日本、イングランド、フランスとそれぞれのナショナルチームの動画を見ると、そこにお国柄が見えてきて面白い。

我らが日本代表は、選手に対するインタビューも多く選手もみんなフレンドリーだ。
メディアに登場する人達が、本来の職能だけでなく、素顔の部分を曝け出すのが日本のメディアの一つの特徴だと思うが、ここにもそれを感じる。我々は普段知ることのない代表選手達の素顔や人間関係を大いに楽しんでいる。

イングランドは、普段プレミアリーグを見ている身からすると、まさにドリームチームで、あの選手とこの選手が一緒かあ!と興奮する。
動画の作りは、一言で言えば「素朴」。
今のイングランドを象徴する選手といえば、ハリー・ケインだと思うが、やはり「素朴」だ。
質実剛健というか、今季も圧倒的な数字を残しているのだが、なんか派手さというか、華やかさがない。なんな学校の先生みたいなのだけど、とても優秀というところが、渋い魅力だ。

さて、フランスナショナルチームはどうだろう?

動画を見ると、流石フランス、怖いくらいに洗練されている。
白とブルーでシンプルに構成された洗練の極みのようなユニホームやトレーニングウェア、選手もスタッフも視聴者に対する変なサービス精神などなく、皆マイペースでリラックスしている。
スタジアムの控え室の壁の配色一つとっても、何故我らが日本はこうも垢抜けないのかと少し悲しくなる。

実力的にも、ワールドカップの前回覇者だけあって、今も迫力満点。
正直、日本代表が勝てる気がしない…

一体、フランス人の、この冷たさすら感じる洗練の正体は何なのだろう?

ぼくはフランス在住でも、フランス語が喋れるわけでも、フランスで働いたことがあるわけでもない。
あくまで、ぼくは一人のフランス好きとして、彼らの価値観を推察しているに過ぎないのだが、彼らは日本人からすると、本当に興味深い。

例えば、日本には「道」という考え方がある。スポーツや武道を通して、人間性を育もうという考え方だ。
多くの若者が部活などを通して、礼儀やチームワークを学ぶ。それはそれで良いことだとぼくは思う。
サッカー日本代表のような大人達にすら、たしか誠意や誠実といった言葉がチームのスローガンに盛り込まれていたと思う。

一方、フランスナショナルチームはどうだろう?
あくまで推測に過ぎないが、ナショナルチームの活動を通して代表選手の人間性を育もうとは考えていないだろう。
彼らに課されているのは、きっと勝利することだけだ。

フランス人というのは、別にジュテームと言って、情熱的にキスはがりしているわけではなく、実はしたたかで実利的な面も持っているし、物事をかなりロジカルに考える人達でもある。

日本人だって、今やヨーロッパ各国で活躍する選手がいるのは当たり前の時代だから、価値観は変化していると思うけど、日本人が好きな、みんなで一丸となって戦って、結果敗れてもそれはそれで美しいみたいな敗者の美学が覆る時は来るのだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?