桜の樹の上には
桜の季節の日本は、世界でも最も美しい場所の一つだと思う。
まあ、そんなこと僕がわざわざ言わなくても、日本中の人がそう感じているから、花見をするわけだ。
コロナ禍なんて、僕にはほぼ関係ないと思っていた。
もともと人と集まる機会も多くないし、一人で本読んだり、映画見たり、運動したりして、酒飲んでれば、わりかし満足する気質ではある。
コロナ禍で仕事が劇的に変化するわけでもなく、相変わらず、「このままで良いのかな」と漠然とした不安を抱きながら、コロナを持ってしても、変化する勇気をもてず、ダラダラと現状維持を続ける始末。
何かの本で、40代は良くも悪くも、理想の自分と現実の自分に折り合いをつけるのが上手くなり、変化の少ない時期になります、と書いてあったのを覚えている。
その本で指摘されている通り、20代の頃に感じていた焦燥感のような気持ちは鎮火され、「まあ、これはこれで良いか」と感じられる時間は増えたと思う。
話が脱線してしまった。
恐らく、満開の桜を見れる休日は、今日を逃すともうないと思って、花見をしてきた。
ありがたいことに家の近所に穴場があるので、散歩がてら出掛けてみた。
みんな考えることは同じようで、普段は人通りが疎らな通りに、あれっうちの近所にこんなに人いたんだ、と思うくらいの人出があった。
桜はもちろん綺麗だった。
それ以上に僕が良いなと思ったのは、桜の木の下で浮かれる人達だ。
ピクニックシートにお弁当持参の若い親子連れ、散歩しながら花見する熟年夫婦、一人ワインボトルをラッパ飲みする爺さん。
みんな、とてもご機嫌だった。
そして、それはとても良い光景だった。
コロナ禍なんて自分には関係ないと思っていたけど、この光景を体験できないのは辛いなあ。
どうか、この光景は失われないで欲しい。
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