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"AI (人工知能) が進化しても人間は超えられない" と感じさせてくれる一冊

ビジネス本ばかり読んでてもつまらん人間になってしまうぞ、ということでたまたま本屋で出会った一冊

 『かがみの孤城』辻村深月 (著)

一言で言うと、”AI (人工知能) がどれほど進化しても人間は超えられない” と確信させてくれた見事な一冊でした。

物語は、学校でいじめに遭い不登校となった主人公こころの葛藤からスタートします。高校中退して働いて貯めた金で世界一周して(死にかけた) から21歳で起業した私としては
「ぐだぐだ言ってないで学校行けよ、、」
「引きこもりついでにプログラミングでも勉強すれば将来困らんぞ、、」
「人がどう思うかなんて気にするなアホらしい!!」など楽しくツッコミながら
読んでいたわけですが、途中から、人の心理を繊細かつ独特の世界観で描写する著者のセンスに引き込まれていきます。
ストーリーは極めてディズニーチック。こころと同じく学校に行くことができない7人が家の鏡を通って孤城(お城)に集まり、一定期間を過ごす間に城に隠された鍵を見つけられたら願いが叶うというもの。

・・・これだけ聞くと「中島の頭はお花畑なのか?」的な感じになってしまいますが、最後の50pでストーリーは急展開し、時空と友情と家族の愛が深く複雑に絡み合い、考え抜かれた伏線に何度も鳥肌が立つ壮大なエンディングに帰結していきます。
「50万部突破 / 本屋大賞」「泣けて泣けて目が腫れてしまいました」 というミーハーなキャッチや書評とは裏腹に、読み終わった余韻はまるで村上春樹の小説のようでした。

コンピューターの演算能力はとっくの昔に人間を超えていて、今後あらゆる意思決定や業務がAI (人工知能) に置き換わっていくでしょう。人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)も近い未来だと言われています。

しかしこのような本と出会う度に、こんなストーリーをプログラムが作り出せるわけがない。AI (人工知能) がどれほど進化しても人間は超えられない、” と感じさせてくれます。心の栄養に読んでみてはいかがでしょうか。

 『かがみの孤城』辻村深月 (著)

#読書感想

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