日本製鉄のよるUSスチール買収について

日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収が政治問題までに発展している

USスチールとは、122年の歴史を持つ米国の産業力の象徴(アイコン企業)である老舗企業だ。20世紀のアメリカ資本主義の繁栄支えてきた大企業であり、世界最大の企業でアメリカをグローバルな超大国に押し上げた役割を果たした。しかし、日本と西ドイツに製造競争で負けていくことを原因に衰退を辿ることになる。

現在の生産量ランキングを見てもわかるように、USスチールの生産量は日本製鉄の1/3ほどとなっている。

このような背景を受け、USスチールは2023年8月、身売りを含めた検討を開始した。そこに日本製鉄が141ドル億ドル(約2兆円)で入札を決めた。
この買収で問題となっているのはアメリカ本土での反対の声の大きさである。USW(産業別労働組合)が日本製鉄の買収に対して反対の声明を発表。献身的な労働者の懸念を無視したとして批判的な立場をとっている。これが政治的問題まで発展した原因なのである。

今年11月に大統領選を控えた中、バイデン氏とトランプ氏の動向が注目されている。USWを支持基盤としているバイデン氏は、票獲得のため、この買収に対して否定的な立場ととらざる負えないという状況なのである。

4/12に行われた株主総会では、買収案の賛成比率が7割を超え、株主の承諾を得た形となる。次の争点として、USWの承諾と対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が下りるかが挙げらあれる。

この買収に関して未だ不透明感は拭えないが、買収後の鉄鋼業界での中国への対抗や、市場での発展を鑑みれば、成功してほしいと願うばかりである。


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