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週刊金融日記 第627号 東京のタワマンはまだまだ安いですから皆さん落ち着いてください、エヌビディア決算に注目、ドバイ旅行中に面白いツアーガイドのマッチングアプリを発見、菅首相の携帯料金下げる政策はなぜダメだったのか、他

// 週刊金融日記
// 2024年5月21日 第627号
// 東京のタワマンはまだまだ安いですから皆さん落ち着いてください
// エヌビディア決算に注目
// ドバイ旅行中に面白いツアーガイドのマッチングアプリを発見
// 菅首相の携帯料金下げる政策はなぜダメだったのか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本でいろいろ非常にバタバタしていたのですが、何とか事務仕事を片付けて、香港に帰ってきました。

★成田の第三ターミナルを使ったんですが、その際に、またひとつ学びがありました。

★日本の食べ物も美味しいけど、香港の食べ物も美味しいんですよね。

 原稿を書いている時に、いま国際情勢で非常に重要な国であるイランのライシ大統領らが乗ったヘリコプターが墜落した、というニュースが入ってきました。

●【随時更新】イラン ライシ大統領ら死亡 搭乗ヘリ墜落で
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240520/k10014454981000.html

 また、国際刑事裁判所(ICC)がテロを実行したハマス幹部と共に、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相をガザ地区でのパレスチナ人虐殺を戦争犯罪だとして逮捕状を請求しました。
 ロシアのプーチン大統領にも逮捕状が出ていますが、まあ、あんまり意味がない、というのが国際政治の本質ですね。日本の中で犯罪者がいたら、国家権力に従い動く警察という圧倒的な暴力で強制できますが、大国同士はそれより強い暴力がないのだから、強制できません。イスラエルは大国ではありませんが、核保有国であり強力な軍隊を持っているイスラエルの首相を強制することはできませんから、多分に儀式的になります。

●ICC検察官、ネタニヤフ氏の逮捕状請求 ハマス幹部にも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20AQC0Q4A520C2000000/

週刊金融日記 第607号 リベラリズムが終わりリアリズムの世界到来

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 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-アラサー会社員(独身)ですが都内で1LDKのマンション購入を考えていますが下がるのを待った方がいいでしょうか
-9カ月の娘を幼児教室に通わせるか悩んでいます
-将来的に親の介護をしたくないのですがどうしたらいいでしょう
-「菅首相の携帯料金下げる政策はダメだった」という発言の真意は

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.東京のタワマンはまだまだ安いですから皆さん落ち着いてください

 東京の不動産価格が上がり続けています。大阪など関西の都市部や名古屋や福岡なんかもそれなりには上がってきていますが、やはり何と言っても東京都心のタワマンが高いです。かなりのエリートサラリーマンたちでもなかなか買うことが困難になってきましたから、まだ、買えてない人たちの焦りや憤りの声が様々なところから聞こえてきます。
 まあ、僕、ちゃんと言ったんですけどね。

★リーマンショック(やや和製英語で英語では世界同時金融危機、GFC)から東日本大震災ぐらいの時期が日本の不動産の底でしたね。それぐらいの時期に、人気ブロガーや経済評論家たちが、住宅ローンはバカ!情弱!と大合唱していました。そうした時期に、僕はちゃんと住宅ローンは極めて有利だ、と言っていたんですよ。

★それどころか、もう住宅ローンを限界まで使って、リミットまでマイホームに賭けよ!とはっきり言っていました。まあ、僕は他人を煽っていても、自分はその通りに行動できなかったんですけどね。外資系企業の借り上げ社宅の節税効果が良すぎたもんでね。まあ、その頃に、諸事情で某所にマンションは買えたんですけど、"Bet the Limit"とは程遠いですな。とほほ。

 宝くじって、ほぼ当たる確率がゼロですよね。ググって調べてみたところ、サマージャンボの1等前後賞がだいたい1億円らしいのですが、これの当選確率が500万分の1だそうですね。しかし、当時、大企業なんかでサラリーマンやっていたふつうの人が、家族で住める家をちょっと無理して35年ローンで買うだけで、宝くじが当たったんですよ。逆に言えば、マイホームなんか絶対に買うな、賃貸にしろ、と言っていた人のアドバイスを真に受けた人たちは、1億円損したわけですが、1億円もの明暗を分ける投資アドバイスもなかなかありません。
 それで、いずれ東京にタワマンでも買おうと思っている人たちの悲痛とも言えるつぶやき、あるいは叫びが、僕のXのタイムラインにたくさん流れてくるようになったというわけです。

★僕は東京が国際都市として発展して行ってほしいので、外国人が東京の不動産を買うことは、とてもいいことだと思っています。

 自戒を込めて、あえて恥ずかしいバックナンバーを紹介すると、僕も以前は、予想と願望が入り混じり、ちょっとした不動産価格が下落する兆候を見つけては、東京のタワマンは暴落する!みたいな記事を書いて煽っておりました。まことに申し訳ございません。

週刊金融日記 第544号 東京のタワマンがこれから暴落するかもしれない3つの理由

 この記事は2022年10月なんですけど、その根拠は、東京の人気のタワマンの家賃相場から諸経費を引いて、価格で割ってやれば利回りが計算できますが、それがもう2%切るかという水準だったことと、日本の金利がボトムだったんで、もう金利は上がるしかない(不動産価格は下がる)、というふたつのことが根拠でした。
 それが現在どうなったかというと、家賃がけっこう上がっています。日本は賃貸で住んでいる住民の権利が非常に強いので、オーナーは簡単に家賃を上げられません。だから、家賃はかなり硬直性があったんですが、それでも住み替えなどが起こる時に、家賃が上がっていきました。SUUMOなんか見ていると、ポン、ポン、と人気タワマンの家賃がこの3月、4月に上がっていました。タワマンの低い利回りは、不動産価格が下落するのではなく、家賃が上がることによって是正されつつあります。
 そして、金利の話ですが、マイナス金利解除のイベントが為替相場に与える影響の時もそうだったのですが、米ドルの金利が4%とか5%とかで揺れ動いている時に、日本円の金利が-0.1%から+0.1%とかに上がったところで意味あるんか、という意見と、いやいや心理的に大きな節目になる、という意見がありました。実際に為替相場で正しかったのは前者で、不動産でもやはり前者が正解だったわけですね。いまさら0.なんとか%金利が上がって、いったい何が変わるんだ、と。
 さて、今週号では、(まだ買えてない人たちの)期待や願望とは裏腹に、東京の不動産はまだまだ安い、という話をしたいと思います。

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