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週刊金融日記 第641号 バナナの叩き売り状態の最先端生成AIたち、エヌビディア決算に注目、百年以上続いたがコロナ禍でクローズした飲茶レストランが復活、マグ7売って余ったドルの投資先、他

// 週刊金融日記
// 2024年8月28日 第641号
// バナナの叩き売り状態の最先端生成AIたち
// エヌビディア決算に注目
// 百年以上続いたがコロナ禍でクローズした飲茶レストランが復活
// マグ7売って余ったドルの投資先
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 ちょっと上海とソウルに行っておりました、いろいろ予定が詰まっていてメルマガ配信がすこし遅れてしまいました。申し訳ございません。この旅でまたいろいろ学びがあったので、次回以降にメルマガにまとめますわ。

★上海に行くのはおそらく5年ぶりぐらいです。不動産バブル崩壊で不景気だから空いているだろう、と思って楽しみにして行ったら、めちゃくちゃ混んでいました……。先日行った広州は良かったんで、おそらく3番手以下の都市の方が比較的空いていて観光にはいいのかもしれません。

 ロシア発祥のTelegramというメッセージアプリは、誰からも会話が傍受されないようにエンドツーエンドで暗号化されていて、その機能性とセキュリティの高さから、個人だけでなくビジネスコミュニケーションツールとしても世界で広く使用されています。ロシア人の天才プログラマのDurov氏らが立ち上げたのですが、ロシアで捜査当局から情報を提供するように圧力を受けたことをきっかけに、ロシアから逃がれ、最終的にはUAEのドバイに落ち着いていました。過去にFBIなどからもバックドア(捜査当局が会話を傍受する抜け道)を作るように圧力をかけられていたそうですが、それも断わっています。
 よって、たとえばハマスみたいな、米国やイスラエル政府と敵対する組織なんかはもっぱらTelegramを使っています。というか、WhatsAppにしろLINEにしろ、こうした会社は米国の諜報機関の言うことはすぐに聞いてしまうので、何でも筒抜けですね。だから、アメリカやイスラエルに目をつけられている個人や組織はTelegram一択なわけです。あと、FacebookにしろYouTubeにしろ、アメリカ政府にとって好ましくないコンテンツは消されてしまいます。
 それで、イスラエルと紛争しているハマスやヒズボラなんかがTelegramを使っているもんですから(もちろんふつうにプライバシーを守りたい西側のふつうの市民もたくさん使っています)、イスラエルやアメリカなんかからずっとマークされていたようで、Durov氏がフランスに立ち寄った際に、とうとう逮捕されてしまいました。場合によっては懲役20年とかありえるそうです。
 TelegramはUAE拠点のサービスとして非常に成功しており、Durov氏はUAE首相とも親交があり、UAE政府が釈放に向けて動いているようです。

●UAE Seeks Consular Access For Telegram CEO Pavel Durov Detained In Paris
https://www.forbesmiddleeast.com/innovation/technology/uae-requests-consular-services-for-telegram-founder-pavel-durov

★Telegram創業者のPavel Durov氏の過去のインタビューが非常に面白いです。

●The Story of Pavel Durov! | Russian Father of Telegram and VK
https://www.youtube.com/watch?v=DDJrJ4q1e_U

(以下のUberの話は長くてしょうもないので忙しい人は読み飛ばして大丈夫です)

 とうとう僕のUberが壊れて、アカウント削除するハメになりました。
 香港のビーチに遊びに行って、帰りにUberを呼んだのですが、その時、ちょっと遠いんでドライバーとつながっては次々とキャンセルされました。そしたらなんか二重に呼ばれているなんちゃらと変な内部エラーが出るようになりました。仕方ないのでその日はあきらめて、いっしょに行っていた友人が別のHK Taxi Appという香港のタクシーにつながるアプリで呼びました。これは香港では本家Uberより安い上に香港中のタクシーにつながるんでかなり使えます。しかし、これもUberの子会社のようですね。
 別の日にUberを呼ぶとなぜかまた同じエラーが出ます。中途半端にプロセスが終わって内部で何かのフラグが立ち、そのフラグが立ちっぱなしになっているとか、たぶんそんな感じのバグだと思われます。そして、サポートに連絡しようとしても、アメリカの巨大IT企業のサービスあるあるで、QAの分岐のグルグルで永久に人間につながらないやつです。それで、ブチ切れて、Xの方でUberはクソだわ!とポストしたら、さすがフォロワーが20万人以上のインフルエンサーなので、日本のUberのアカウントが僕に話しかけてきて、人間のサポートにちゃんとつながりました。

★不満をぶちまけたところ、日本のUberEatsのアカウントがつないでくれたんですが……。

 しかし、このサポートが、もうなんかアプリを消して再インストールしてくれ、を繰り返すだけです。あなたのアカウントはすでに直っている、とか言ってきて、その通りやってUber呼んでも同じエラーで止まるんですわ。しかも、ちゃんと車は呼ばれていて、でも、こっちからはエラーで見えないんで、ドライバー側はにっちもさっちもいかなくなって、うろうろしてキャンセルして、頭に来て僕の評価を1にする、という地獄の展開になります。それで、また、エラーメッセージのスクショを取ってサポートに送ると、もういちどアプリを消して再インストールして呼んでくれ、と言います。もう一度やると、また、ドライバーが呼び出されるもののにっちもさっちもいかなくなって、僕は最低の評価を喰らいます。なんかキャンセル料とか請求されてるんで、それも申請して取り返して、また、サポートに連絡する。この地獄のループを5回ぐらいやって、とうとうあきらめました。仕方ないのでUberのアカウント消しましたわ。このトラブル解決のために費やした僕の大切な時間を返してもらいたいです。婚活女性が悪い男性に弄ばれて結局結婚できなかったら、私の時間を返して!と同じような気持ちになるのでしょうか。
 日本はUberは単に割高のタクシーが来るだけのクソだし、香港はHK Taxi Appがあるし、たまに行くフィリピンなんかの東南アジアはGrabが多いのですが、外国人が使えるアプリだと実質的にUber独占になっている国や地域も多く、こんなクソなアプリでも、僕は新しいアカウントを作ってUberを入れ直すしかありません。本当に独占はアカンですな。
 孫正義さんが、昔、UberとGrabの両方の大株主になって、本当にこんなことしていいんか、と僕は非常に疑問だったんですが、アジアのこの国はUber独占、この国はGrab独占みたいにやってました。日本もそうですが、各国政府は立ち上がって、こういうアプリの独占をちゃんと法規制で止めて、巨額の罰金を払わせたり、独占させないようにしないといけませんね。

週刊金融日記 第388号 いまさらだがソフトバンク孫さんの10兆円ファンドがめちゃヤバかった

 Uberに限らずアメリカの巨大IT企業は世界でやりたい放題なので、デジタル植民地にされ、国民がデジタル小作人になってしまっている状況を打破するために、いまこそ立ち上がるべきでしょう。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-アメリカで牛が鳥インフルエンザに罹ってる件
-マグニフィセント7の株を売ったんですが口座にドルがだぶついて新たな投資先を探しています
-家庭をふたつ築くつもりで中◯しした20代女医の彼女にフラれ妻も不妊
-僕と結婚したかった女性の時間を奪い弄んでしまったことに罪悪感

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.バナナの叩き売り状態の最先端生成AIたち

 また小説執筆をはじめて(各位、執筆が遅れていてすいません)、AIをいろいろ使っています。
 世界的なAIバブルはすべてが生成AI(Generative AI)に関するものなのですが(他の各機能特化のAIは昔からありちょっとずつ進歩しながら地味にやっていました)、生成AIの一番得意な分野はソフトウェア開発のコーディング補助と、作曲や絵画などの芸術分野ですね。前者の性能が良いのは、プログラマが自分が書いたコードをGithubで公開して自分のスキルを証明していい就職しよう、というアカデミアの研究者がいかに良い論文を発表して評判を上げるかを競うのと似た仕組みがプログラマの間にあるからです。また、オープンソースのプロジェクトで、世界中の優秀なプログラマたちがコードの改善に貢献していて、自分が書いたコードが有名なオープンソースのプロジェクトに採用されれば、大いに評判が上がります。このようにソースコードとそれに関する人間同士の会話など、インターネット上に無料で使える良質な学習データがあったので、この分野はLLM(=Large Language Model)の生成AIの性能が非常に良いわけですね。
 作曲や絵画なども、ネット上に良質な学習データがありましたし、芸術は正しい答えがあるわけではないので、生成AIが得意な分野です。正しい答えがあるものは、ハリュシネーション(hallucination)というデタラメを堂々と流暢に答える、という解決困難な生成AIの問題があるのですが、芸術分野ではハリュシネーションはむしろ作品の個性となるわけです。一方、確定申告や、算数の問題を解くみたいな、正しい答えがひとつに定まっているものに関しては、よく間違えるし、それも堂々といかにもわかってそうに間違えるので、困ったことになります。

 好調な米国株式市場を支えているものが生成AIバブルであり(この1年余りのパフォーマンスはMagnificent 7などAI関連銘柄に極度に偏っています)、そのAIバブルで最も利益を得ているNVIDIA社の注目の決算が本日の水曜日ですから、今週号は僕が最近いろいろ書いてきたAIバブル崩壊についての考察のアップデートをしておきたいと思います。

週刊金融日記 第636号 生成AIは年間100兆円売り上げないとペイしないがまだ稼げるビジネスモデルなし
週刊金融日記 第638号 AIバブル崩壊はまだ始まったばかり

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