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週刊金融日記 第406号 最近まで知らなかったことを10年前から知っていたかのように語る技術 その2、新型コロナウイルスとの戦争は人類の敗北濃厚、セブのジンベイザメと銀座の蟹と日比谷駅、資産家の旦那との仮面夫婦を継続するべきか、他

// 週刊金融日記
// 2020年2月11日 第406号
// 最近まで知らなかったことを10年前から知っていたかのように語る技術 その2
// 新型コロナウイルスとの戦争は人類の敗北濃厚
// セブのジンベイザメと銀座の蟹と日比谷駅
// 資産家の旦那との仮面夫婦を継続するべきか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 今週のマーケットのコーナーに書きましたが、香港は8日から中国本土からの入境者は2週間の強制隔離などという物物しいことをはじめましたが、まあ、自宅待機して外に出るな、出たら刑事罰もあるぞ、というもので、そんなに大したものではないかもしれません。知らんけど。庶民レベルでは、もうさすがにみんな飽きてきて、週末はバーやクラブが集中しているランカイフォンなんかはいつものように酒飲みながらどんちゃん騒ぎをしていて、もうまったく新型コロナウイルスが拡散し放題だな、という気がします。
 まだまだわからないことも多いですが、中国国外のデータを見ると、病院のキャパシティの問題から重症患者だけを検査をしている武漢の病院のデータと違い、致死率もそんなに高くなく酷いインフルエンザぐらいかな、という感じです。個人的には、もはや気にしてもしょうがないのかな、と。ふつうの風邪ウイルスと同じように、世界に広がっていくことはもはや不可避だと思います。

★僕はいろいろ勉強したり、よく考えてみたら当たり前だったんですが、じつは風邪みたいな感染力があるウイルスを今日日ひとつの都市に封じ込めるって不可能なんですよね。それで過去がどうだったのか調べたら、こういうことでした(笑)。

 こう考えると、世界中でいろいろと入国制限とかやっているのも、まあ、壮大な茶番劇という可能性が高いわけで、政治というのは面白いな、と思ったりするわけですね。そして、中国は独裁だから合理的な政策が取りやすい、と思っていたのですが、ここにきてウイルス戦争の落とし所をどうするんか、というので意外とこっちはこっちでリーダーのメンツとか、日本の官僚みたいに無謬性(常に正しい、正しくないといけない)の問題があって、最初に決めたことの方向転換しにくいなど、こちらも合理的政策が取れない別の問題もあるんだな、といろいろ考えさせられました。

 今回の世界的な騒動で、僕はウイルスの生物学とか疫病の歴史とかの文献を読みふけっていて、大変に知的な生活を楽しんでいました。おかげで、いろいろ税務関係でやらないといけない仕事があったんですが、ぜんぶ手がついておりません。中学生とか高校生とかのときに定期試験の前に北斗の拳を全巻読み直しちゃうアレですね。トホホ。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- 英語の勉強法のバックナンバー
- 留学予定がある欧州の恋愛市場での戦い方について
- 韓国へのフッ化水素の輸出制限に制裁の効果はありますか
- 23歳精神病持ちの妹の婚活戦略
- 47歳開業医妻ですが資産5億の夫との仮面夫婦を継続するか迷っています

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.最近まで知らなかったことを10年前から知っていたかのように語る技術 その2

 個人的なことで恐縮だが、新型コロナウイルスの騒動に僕はえらく知的好奇心を掻き立てられた。それは生物学と経済学の境界領域で、さらに実際のマーケットやビジネスが刻々と新しい情報に反応して動いていく。そして、何よりSNSのインフルエンサーがどう情報を発信して、さまざまなクラスタを形成し、お互いに影響し合いながら世論が形成していくのか、といったインターネットの中でのクラスタ間での論争のダイナミクスを垣間見ることができた。また、僕自身、カジノが閉鎖されて、香港への入国制限が行なわれる直前にマカオに行ったし、いまは中国本土からの入境者は2週間隔離とかいうことまでやっている香港にいることもあり、大変に興味深い経験をした。
 その過程はまさに専門家レベルのことをいかに速習するか、ということの生きた教材になった。また、先日のメタゲームの話ともつながっている。今回は、そのことをすこし解説したいと思う。

『週刊金融日記 第102号 最近まで知らなかったことを10年前から知っていたかのように語る技術』
『週刊金融日記 第405号 高度な意思決定に必要なものは小学4年生が習う算数の割り算だけ』

 まず情報のメタゲーム的な話をすると、事実があって、その事実を正しく理解することが重要なのだが、もっと重要なのがその事実を人々はどう誤解しているのかを正しく理解することである。誤解の仕方は人それぞれなのだけれど、ある程度グループに分けてラベリングできる。それぞれのグループの誤解の特徴をよく理解していく、というのがマーケットなら優れたトレーダーがやっていることである。正直、事実を正しく理解することが一番簡単なのだが、世の中の9割の人がそれすらできない。事実を正しく理解できるのは1割で、さらに他の人がどう事実を誤解しているかも正しく理解することができると、ようやくトップ3%ぐらいに入ってくる。トレーディングとは97%の人がただコインを投げていて、まともな人は3%もいなくて、この3%の人同士の戦いなのである。プロの麻雀やポーカープレイヤーしかり、あるいはビジネスだとトップレベルのマーケターの多くがこの領域に達している。止まっている知識を覚える受験勉強とは違い、次々と動いていく情報のダイナミクスを重層的に把握していくことが、ビジネスでは重要なのだ。

『週刊金融日記 第327号 世の中のほとんどのものはPerception(=認知、認識、人がどう感じたか)のゲーム』
『週刊金融日記 第334号 ビジネスも恋愛もパーセプションのゲーム』
『週刊金融日記 第395号 成功し続けられるかどうかは目的合理性とメタゲームと全体最適だと思った』
『週刊金融日記 第404号 東出唐田不倫事件と東大生ナンパ氏強姦事件からメタゲーム的考察の重要性を学ぼう』

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