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週刊金融日記 第82号 モテスパイラル現象の生物学的な根拠—グッピーによる実験、主要企業決算発表、福島温泉旅行、セックス・トライorストップロス戦略再考、他

// 週刊金融日記
// 2013年11月4日 第82号
// モテスパイラル現象の生物学的な根拠—グッピーによる実験
// 主要企業決算発表
// 福島温泉旅行
// セックス・トライorストップロス戦略再考
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本は三連休でしたね。僕は先週、平日に休みを取って福島に温泉旅行に行ってきたので、連休中はいろいろと仕事をしておりました。
 さて、今週号のメルマガですが、まずは最初に、恋愛工学の極めて重要なコンセプトを証明した生物学の学術論文を紹介します。これは非常に示唆的です。
 また、お店紹介コーナーでは、福島の温泉旅館をいろいろと紹介しています。
 人生相談コーナーでは、セックス・トライorストップロス戦略の再考が重要だと思います。
 今週はかなり盛り沢山な内容ですね。
 それでは今週もよろしくお願いします。

1.モテスパイラル現象の生物学的な根拠—グッピーによる実験

 ルックスでも金でもなく、単に他の女にモテているから、勝手にモテるようになる。他の女とセックスしていると、別の女ともなぜか次々とセックスできるようになってくる。こうした恋愛工学のモテスパイラル理論は、僕は経験的に極めて正しいと思っていました。だからこそ、本メルマガではしつこいぐらいに強調してきたわけです。逆にいえば、ルックスが良くて金があっても、単にセックス不足というだけで、どんどんモテなくなります。非モテスパイラルや非モテコミットなどは、本メルマガの読者にはお馴染みのコンセプトですね。
 しかし、この「他の女とセックスしてると勝手にモテるようになる ※ただし素人女との自由恋愛に限る」というのは、なんかオカルトっぽくて信じられないのか、僕が調べた限り、世間に出回っている男性向けの恋愛マニュアルだとかナンパ本なんか読んでもぜんぜん書いてありません。だから、この単純な法則を強調し、それに男の恋愛戦略としての重要な地位を与えたのは、週刊金融日記の恋愛工学がはじめてだったのではないかと思っています。

『週刊金融日記 第36号 失敗を約束される非モテコミット』
『週刊金融日記 第48号 モテ・スパイラルの科学』

 それで他の動物でこうしたことが証明されていないのか文献調査をしていたら、いろいろと面白い学術論文を見つけたので、今日はそれらを紹介したいと思います。
 じつは、モテスパイラルの発生をしっかりと科学的に証明するのはかなりむずかしいのです。なぜならば、遺伝的に優良な資質を持っているオスはモテるから、次々とメスとセックスできるのですが、これは遺伝的な資質によってセックスしているのか、セックスしてるからセックスできているというモテスパイラル現象なのかの区別ができないからです。

 こうしたモテスパイラル現象がはじめて実験的に証明されたのは、おそらく1992年に発表された、Dugakinによるグッピーを使った一連の実験です。
 グッピーは品種改良された美しい個体が観賞魚として世界中で飼育されていますね。熱帯魚にくわしくなくても、尾ひれがヒラヒラしているきれいなグッピーの姿を想像できる人は多いのではないでしょうか。グッピーは卵胎生(メスのお腹の中で卵が孵化して稚魚になってから産まれてくる)のメダカで、ミリオンフィッシュと呼ばれ繁殖力が非常に旺盛です(すぐに100万匹に増えるということからこう呼ばれる)。よってこうした性淘汰の実験によく使われる魚です。
 他の多くの動物と同じように、グッピーのオスはただ精子を出すだけで、子育ては一切しません。つまり、グッピーのオスのモテは、恋愛工学でいうところのGood Genesであるかどうかだけで、Good Dadというのはまったく考慮されません。
 グッピーのメスはどうやってオスを選ぶかというと、オスの身体の発色や、尾ひれの長さ、模様のパターンなどにより交尾するべきかどうかを選別するわけです。これらで相手のオスの遺伝的な資質を見抜こうとします。
 孔雀のオスの羽は、病原菌に打ち勝つ強い免疫力があることの証明であり、Good Genesであることを主張するために、生存を脅かすギリギリまで美しく伸びていきました。これはランナウェイ仮説(第30号)と呼ばれるものですね。グッピーのオスの尾ひれも同じような理由で、非常に美しい色彩と形状に進化しています。一方で、グッピーのメスは、他の多くの動物と同じように、交尾する相手のオスを選ぶだけの立場なので、非常に地味な姿をしています。

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