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不思議な話11 「ノックをしたのは誰?」

 ある夜勤の話しです。

 その日は、体調の悪いご利用者がおり、詰所の横に扉で繋がっている「レクリエーションルーム」にベッドを入れて、様子を見ていました。

 夜中に状態が更に悪くなり、看護師とご利用者の対応をしながら、相方の新人介護職員に急変事の対応を教えていました。

 レクリエーションルームに3人がそれっているとき、廊下側にある扉がノックされました。

 起きてきたご利用者と思い、急に扉を開けて驚かせて、転倒してはいけないとお思い、詰所に周り扉の方に行きましたが、誰もいません。

 レクリエーションルーム近辺の居室を確認しましたが、皆さん寝ており他の部屋の方の侵入もありません。

 看護師に呼ばれ救急搬送するとのことで、対応に戻りました。

 誰もいなかったことに、新人職員が怯えだしたので「気のせい!」と言いましたが、こわい気持ちはわかるのでとりあえず、私か看護師にくっつけて対応を進めました。

 ご利用者は救急車がきても会話ができており、「ベッド残しといてな。ここに帰ってこさせてや!」と話されており、愛用の帽子をとってきてなど、意識はしっかりしていました。

 すぐに帰って来るだろうと思っていましたが、入院中に急変し施設に戻ることなく永眠されました。

 あのノックは、3人ともが聞いており、聞き間違いではありません。

 しかし、その部屋の周辺には、自力で車イスに移れる方もおらず、歩けるご利用者はいましたが、その方々ならば、であっているはずなんですよね。

 そのノックの後から、徐々にバイタルサインの低下があったのは、偶然なんでしょうか……。

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