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【読書 #32】 ケーキの切れない非行少年たち

宮口幸治氏の『ケーキの切れない非行少年たち』は、児童精神科医としての経験を基に、非行少年たちの根本的な問題に光を当てた書籍だ。

著者は、彼らが単に反省力のないだけでなく、認知能力にも問題を抱えていることに注目する。

凶暴で手に負えない少年たちの多くが、認知力の低さにより『ケーキを等分に切る』こともできないという現実がある。

非行少年たちの認知機能の弱さと、それが彼らの問題行動にどう影響しているかを鮮明に示している。

さらに、本書は非行少年の特徴についても深く掘り下げている。

感情を統制できないことが、彼らの認知機能を悪化させ、さまざまな問題行動につながる

この点は、非行少年が抱える感情の乱れが、なぜ彼らの行動に対する冷静な判断力を奪うのかを明確に示している。

また、教育への示唆も提供する。

褒める教育だけでは問題を解決できない

「この子は自尊感情が低い」という言葉が、単なる紋切り型であることを指摘し、教育の深化を促している。

本書の魅力は、著者が医学的な専門知識をもとに、実践的な解決策を提供している点にある。しかしまた、具体的な事例やケーススタディがもっと増えると、我々は問題の実態をより深く理解しやすくなるだろう。


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