治病治癖の奥義

これまでに述べたのは、
精神と肉体の関係および
精神と各器官の機能との関係
並びに精神と種々の疾病や悪癖との関係
についての
その一部分を参考までに述べたに過ぎないのである。

要するに我々の身体の
生理的機能が
精神に支配されているのである。

従っていわゆる疾病を
精神的方面から治す方法を講ずることが
いかに合理的であることかを悟るべきである。

ただし
精神万能屋になってしまってはならない。
疫病によっては非常によく効く薬物もあり
よく効く医療もある。

そしてそれらの薬や医療は
たちまちにして顕著なる功を奏すものである。

つまり、薬や医療を何回試みても
効果の現れないような場合は、
速やかに精神方面から治す方法を
講ずべきである。

効果無きものに頼っているときは
いたずらに依頼心を増大するのみである。

依頼心は自然療能の大障害物となるものである。

慢性病や悪癖で悩んでいる者が
この薬、あの医療、彼方のまじない、この神様
次から次へと迷いつつ
依頼心に加えるに依頼心をもってしている
即ち自然療能の障害物に加えるにまた障害物
であるのである。

これでは自然療能は手も足も出せないし、
また頭をあげるべきスキもないのである。

このようにして自然療能を抑えつけてしまえば、
どんな妙薬でも医療でも
其の病やまたはその癖は治るはずがないのである。

万が一治れば不思議である、というべきである。

かくの如きであるから
慢性病者の多くは、
慢性よりも不治へと陥り、
死ぬまで薬をのみ
医療を抱いて悩み続けているのである。

実に「依頼心」は
自然療能の大障害物であり大強敵であるのである。

故に病人は
依頼心は大禁物であることを
悟らねばならないのである。

この真理をよく悟った者は、
たちまち治病の奥義をつかんだのである。

そして之が掴めたなら
次は精神力を強くし、
もって自然療能の障害物を除去して、
そして自然療能を
猛烈に作用させる方法を
会得すればよいのである。

では段々と筆を進めて
その方法を教授するから
急かずに焦らずに心を落ち着けて
一字も見落とさずに歩みを進めねばならないのである。
 
医師からの手紙
前文省略
小生医師であり、精神作用が我々に対して
とても影響があるを目撃しいるところにあるが、
その精神作用を活用すべき
一定の方法など全く知らないため
どうにかして習得したく思っていた所、
御会会則によれば余りにも些少の費用と日数とをもって
習得できる様子を拝察し
ご指導ご教授願い入会申込書を送付させていただきます。
静岡県立病院長吉岡貞蔵拝
(※昭和7年ごろ)
 
医師等は
特にこの道を修得せねばならぬのである。
幸い、近頃この道の研究者も多くなって
本会に入会している医師もたくさんいるのである。

しかし、
いまだこの道を迷信視して
冷笑している者も無いでもないのである。

たしかに、精神療法の中には
非科学的のものや迷信的のものが多くあるのである。

しかしながら真理に基づく
正しき精神療法をまで同一視すべきでないのである。

科学療法の中にも迷信があることに気づかねばならぬ、
自分が科学の迷信療法にとらわれていながら、
正しき精神療法をまで迷信視し
冷笑しつつ
迷いより迷いへと走り
暗黒より墓穴へと歩を進めつつある者こそ
お気の毒である。

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