大宇宙の精神(7)

※この後、「神のおつげ」により、
悪霊が宿っているとされ、
その悪霊を追い出すために
虐殺された人の例があげられるが、
あまりに陰惨な事件のため、
ここでは割愛する。
 
ところが、
これら神憑病者の預言や判断が
的中することがある。

それはどういうことかというと、
その的中する時は
妄念幻想を起こす内意識が鎮静していて、
(勿論外意識も鎮静状態になっている)、
すなわち、
自我活動の一切が鎮静状態になっている所へ、
第三精神が融合するから
正しいことがわかるのである。

故に、
最初より最後まで
こういう合理的の精神状態になっていれば
「グレタ事」を言ったりしないのであるが、
何しろ
元々病的の変態心理状態なのであるから
右の如き合理的の状態になることはほとんど稀で、
かつ短時間となることが多いものである。

故に
数の多い中には
たまには的中することもあるが、
違うことや
愚にもつかないことをいうことが
多いものである。

然るに
預言や判断がどうかして的中すると
人が感心してそれを他の人に語る、
それを聞いた人はまた他に語る、
そして次から次へと
輪に輪をかけて
大評判になるものである。

これに反して
的中しなかった事や、
愚にもつかないことを言われた時は、
誰も他に語らないものである。

かくの如くして
的中したことは大評判となって
「何でもかんでも皆的中する」
という評判になるものである。

そして、その評判を聞いた人が
次から次へと押しかけていって、
それを信じて
バカを見る人がたくさんいるのである。
 

当会に相当知識階級のある人が、
神経痛の受療に来た。
二回ばかりくると休んで、
一週間ほどたってまた受療に来た。

そこで会長は、
どうして休んだのか?と質した。

彼は
「実は、✕✕神様の行者に
見てもらいましたら、
新築した家が私の本命にあたっているため
であるから、
米三升と金三円をこの神様
(行者の家に祀ってある神)に納めて
貴下(患者)は何々と何々と何々の
三種を煎じて飲めば
根治するといわれて、
早速それを実行しました。

ところが
非常に強い激痛が起こりましたので
すぐ医者を呼んで見てもらいましたら
医者は
「煎じて飲んだものが非常に有害物で
そのためにこの激痛を起こしたのだ」
と言われました。
その後続いて
その医者の薬を飲んでいましたが
どうもはかばかしくありませんから、
また先生(会長)にお願いに来ました」
という次第であった。


彼は
家を新築したことを、
教えもしないのにその行者が
「何々の方位に新築したろう」
と言い当てたのを
感心してしまった。

故に
「その新築が貴下の本命に当たる云々」
と言われたのも信じてしまった。
故に
「米三升と金三円を
この神に納めて貴下は何々を煎じて飲め」
と言われたことも
これまた神のお告げと
ありがたく受けて之を信じた。

ところがその神に、否行者に
「飲めば根治する」と言われた物は
非常な有害物で
あって大いに苦しんだのである。

この行者の心理を分解してみればまず、
この行者がお経を読んで神憑りとなる。

(1)貴下は何々の方位に新築したろう云々
=これは第一精神が鎮静状態にあって
これに第三精神が融合したのである、
故に的中している

(2)その新築した家は
貴下の本命に当たる故に
貴下は病気になった云々
=これはその行者の自我心が
「新築した家が方位でも悪いため
に病気になったのであろう」
というが如き愚にもつかない想像より出た言葉か、
またはその想像に対して
内意識が製造した妄念より
出た言葉で信じる価値はないのである

(3)米三升と金三円とをこの神に納めよ云々
=これも神が申すのではなく
行者の欲望を有する自我心から出た言葉で
信ずべき言葉ではない
=神を囮にして
人を食っている行者達の
常套手段である

(4)何々の三種を煎じて飲めば病が根治する
=之も彼の妄念幻想で信ずべき事ではない
=こんな事を信じたから
それが非常な有害物だった物を飲んだのである。
 
要するに右の患者は、
(1)が的中したので感心してしまったから
2も3も4もみな信じてしまったのである。

しかし右のごとく1のほかは
信じるべき価値のないものである。

殊に4の如き場合は、
とにかく彼の妄念幻想が知らしめるのである、
故に非常な劇毒物で
飲めばすぐ死ぬ物を教えないとも限らないのであるから、
実に恐るべきものである。

右に類似する実例は
各地方にいくらでもある事であるから、
迷わされないように注意を要するのである。

右の患者は、
会長が5回施術したら全治したのである。
もし行者の言う如く、
家を新築した方位のために起こった病なら
家を他に移さねば病は治らぬはずである、
然るにその家はそのままにおいて、
病は全治して十年以上たっても
一度も再発しないのである。
 
 

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