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第五十三話【余韻】(Vol.521-530)

Vol.521
祭りの後というのは
どうも寂しい。

静かになった遊戯室。
食堂に運ばれた食事の残り。

ピザやケンタッキー、サンドイッチが
まだ残っている。
こちらはボクたちゆっくり食べれなかった
職員が勤務後に食べれるようにと
盛り付け直されていた。

ありがたい。




Vol.522
お風呂、おやすみ行事、
片付けなど
業務をこなして一息ついたのが
21:30

宿直者はこの後も仕事が続く。
(行事の後は大変だ)と思いつつ。

一声かけて上がらせてもらった。

食堂へ行くとすでに仕事を終えた
職員さんが食事をとっている。




Vol.523
自分たちで食べたいものを食べるシステム。

無限に太っていくシステムだ。

人間の自制が問われるが、、、
お腹を減らしているとダメだ。

あれも、これも、それも
欲しくなる。

人間の【欲】・【煩悩】に
やられてしまうのだ。

ボクは迷わず
ケンタッキーに喰らいついた。




Vol.524
空腹に染み渡る
ケンタッキーの脂

幸せだ。

職員さんとの会話も楽しいが
やっぱり
疲れた体には
プシュッとアレが必要だ。

少しだけ
オードブルを取り分けていただいて
仕事を上がらせてもらう。




Vol.525
部屋に戻るとようやく
“終わった“という解放感と
安堵感に包まれた

今日までのハラハラした準備と
当日の配慮。疲れた

初めてのことは何かとしんどい
【勝手がわからない】というのは
それだけでストレスだ

ここは時間をかけて
慣れていくしかないところ

プシュッという音が部屋に響いた




Vol.526
缶ビールを直呑み。

ゴクゴクと喉を潤しながら
ビールが流れていく。

あー
終わった。

ふー

ようやく自分の時間を取り戻す。

クリスマス会
子どもも大人も
沢山の笑顔に出会えたなと
振り返ってみた。

もうすぐ年末。
初の年越しが間もなくやってくる。

ワクワクだ。




Vol.527
大晦日も間近になると
保護者さんとの連絡も増える。

正月帰省についてである。

家に帰れる子・帰れない子。

中には、帰らないことを選択する子もいるが。

職員は出来る限り
一時帰宅を促す。
“家族“での時間
“親子“での時間を大切にしてもらいたいからだ。




Vol.528
長期休みの間は
時間がわりかし穏やかに流れる。

毎日が行事ということではないので
(若干賑やかではあるが)

子供たちは各々の時間を過ごす。

ただ、思うのは
なかなか外に出て遊ぶ子は少なくなった
ということだ。

そんな中、
コウタはいつも外へ飛び出していく。




Vol.529
朝食を済ませ、
学習時間が終わった10時過ぎ
コウタは外へ出かけて行った。

「おい!昼には帰ってこいよ」

「わかってるって」

お気に入りのアウターをなびかせながら
颯爽と公園に遊びに行った。

彼の好奇心と行動力はすごい。

(一番“生きる力“が強いのかもな)

見送りながら感じた。




Vol.530
コウタ以外の子はというと
のんびりと学園で過ごしている。

テレビを観たり、
ゲームをしたりと
まったりだ。

困った子は
「兄ちゃん。暇や!なんかおもろいことない?」
などとネタを求めてやってくる。

(自分で何とかせんかい!)

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