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百年前のパンデミックと比べてみた(2020年07月末時点)

 出来の悪い近未来SF映画みたいだな、などと考えている。

 2019年11月、風邪に似た新しいウイルスの流行が始まる。
 発症すると20%は肺炎を起こし、3%~5%が急激に悪化して死に至る。致死率は高齢者が特に高い。早々に遺伝子特定され、新型コロナウイルスもしくは流行年号からCovid-19と名付けられた。
 ウイルス自体は洗剤で死滅する程度に脆弱であり、空気感染もしないが、発症する前から飛沫感染を引き起こす。発症せず無症状のまま治ってしまう感染者も多く、各国ともに水際での阻止には失敗し、流行は静かに世界へと広がる。世界最初の死者が確認された2020年1月から、7か月後の7月31日には、全世界の感染者数は約1,710万名、死者数は約67万名となった。
 特効薬もワクチンも、開発から広域流通まで数年がかりと見込まれる。各国当局は外出制限で対処せざるを得ない。旅客・観光・店舗での飲食などを中心に、世界的に壊滅的な経済被害が生じる。感染拡大と経済被害との間で踊る各国当局。連日トップニュースになる今日の新規感染者数と著名人の罹患・死亡。急激に広がる在宅勤務文化。社会不安とデマ。(なんやねん、うがい薬って。)
 それでも季節は変わり、春から夏になった。人類は滅亡せず、事態は解消せず、変容した日常が、昨日も今日も明日も続いている。

 これは、人類が経験する百年ぶりのパンデミックらしい。

 おおよそ百年前の1918年春、風邪に似た新しい病の流行が始まる。
 発症すると多くが肺炎を起こし、5%~10%が急激に悪化して死に至る。致死率は若年者が特に高い。スペインでニュースになったために「スペイン風邪」という名前を付けられたが、この病はスペインに限らず全世界で大流行した。
 ウイルスというものが当時まだ十分に解明されておらず、また世界大戦の折で国家間の人員移動が頻繁だったために、流行は静かに世界へと広がる。流行が収まった1920年までに、全世界の死者数累計は、2,000万名とも、4,000万名とも言われる。
 特効薬もワクチンも、開発の目途も立てられない。各国当局は世界大戦による情報統制の影響もあり、多くは積極的な対策を打たなかった。
 日本では、1920年の感染終息までに、大きく2回の流行があった。1回目では感染者数2,116万名に対して死亡者数26万名、2回目では感染者数241万名に対して死亡者数13万名と、2回目のほうが死亡率が格段に高かった。ウイルスの変容によるものでないかと言われているが、定かではない。
 スペイン風邪による日本国内の死者数は、人口10万人あたり676人だったそうだ。(2020年7月末時点の、新型コロナウイルスによる日本国内の死者数は、人口10万人あたり0.8人なのだそうだ。スペイン風邪の猛威は、本当に桁違いだったのだろうと推測される。新型コロナウイルスにしても、もし集団免疫の獲得による流行の終息を行うとしたら、このような大きな犠牲をともなう焦土作戦に近づいてしまうんだろうと思う。)

 とはいえ、人口10万人あたり…という計算だと、イメージがつきにくい。
 1920年当時の日本と、2020年現在のイタリアとは、ちょうど同じくらいの人口らしいので、この両者を同じ軸のグラフに載せて比較してみる、というのを、4月から毎月やってみている。今回でもう、5回目のnoteになる。

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 イタリアさんところのCovid-19が、このまま落ち着いてくれたなら、来月あたりにはもう、これを書かずに済むようになっているかもしれない。
 ただ、いま日本国内では感染者数が拡大傾向なので、海の向こうよりも自分とこのほうが心配になってるかもしれないけど…。