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百年前のパンデミックと比べてみた(2021年07月末時点)

 1年前と比べると、21年7月現在の状況は好転しているように思える。20年12月から、ファイザー社mRNAワクチンの英国での一般接種が始まった。ワクチンの開発開始から接種開始まで、通常数年かかるところを、人類は1年にまで短縮した。米オックスフォード大学の調査によれば、21年8月7日時点で世界人口の29.7パーセントが何らかの形でのワクチン接種を済ませたという。Covid-19による全世界の死者数累計は同日で427万名、これは全世界人口の2.1パーセントにあたる。変異種による感染悪化が話題になる一方で、ダウ平均株価は20年3月に底を打って以来は基本的に昇り調子。東京では五輪の無観客開催と並行して、過去最大の日次感染者数記録を日々更新している。異常と日常とのマダラ模様、これが異常事態下の日常というやつなのだろう。

 この記事ではパンデミック被害の相対化を目標として、100年前の「スペインかぜ」と現代の「新型コロナウイルス」との月次死者数を比較する。
 100年前の日本と、現代のイタリアとを比較しているのは、双方の全人口が似通っていて同規模の比較になるためで、それ以上の意味は無い。

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 100年前の日本でのスペインかぜは、現代のイタリアでのCovid-19と同じく、2つのピークがあるように見える。偶然なのか一般傾向なのか、いずれも冬季(北半球の11月から3月にかけて)であり、2年目・2回目の被害のほうが大きいようだ。
 また差異として、100年前よりも現代の方が、相対的に被害が小さい。これは医学の進歩によるものかもしれないし、ウイルスの悪性の程度によるものかもしれないし、これからCovid-19が第3波を繰り出してくるのかもしれないし、まだ何とも言えない。

 良いワクチンが出回り始めたようなので楽観視されてはいるけれど、100年前と違って3年目・3度目のピークが起きることだって無いとは言い切れない。日々の感染者数がニュースの話題にならなくなるまで、あとどれくらいかかるものだろう。海外旅行や込み合った居酒屋や満員電車が戻って来るまで、あとどれくらいかかるものだろう。最後のやつは、なんなら別に二度と戻ってこないでくれていいのだけども。