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百年前のパンデミックと比べてみた(2020年05月末時点)

 現在日付は6月1日。東京圏のサラリーパーソンたちは、そろそろと様子をみながら出勤を再開しつつある。NHKニュースのL字表記はまだ消えていないが、いくつかの映画館はきょうから再開だそうだ。イタリアの映画館も、6月15日から再開するという。
 大陸の東から始まったこの大波は、欧州から大西洋を越えて今や新大陸に届いているようだ、FTの記事によると、一日あたり平均での犠牲者数は4千名ほどで、うち南北アメリカ合わせた数で6割を越えるのだという。
 米国では人種問題をきっかけに暴動が広がっているそうだ。暴動をきっかけにコロナがぶり返さないとも限らない。さすがに、次の政権は民主党になるんだろう。

 人類のパンデミックの記憶は、おおよそ百年前にさかのぼれる。「スペインかぜ」と呼ばれるインフルエンザは、世界大戦にともなう人の移動の波に乗り、当時の国際社会を席巻した。英国領インドでは六百万人が命を落とし、スペインのリスボンでは墓地税が8倍になったという。
 スペインかぜによって、百年前の日本では38万人が亡くなった。(今回の新型コロナのパンデミックで、新型コロナによる日本の死者数は無対策であれば42万人にものぼるだろう、と研究者が試算していたそうだが、なるほど確かにそれくらいの数字にはなろうなと、スペインかぜの記録と見比べながら僕は思っていた。)

 百年前の日本の人口は、ちょうど今日のイタリアと同じくらいらしい。東京都の研究所が月別のスペインかぜ死者数を推計しているのを見て、イタリアのいまと比べたらその程度が分かりやすいのでないかと思いついて、3月末から毎月、比較グラフを作っている。

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 百年前の日本のスペインかぜは、今日のイタリアよりも激しいものだったようだ。流行の波は二度あって、二度目のほうが犠牲者数は多かった。
 今日のCOVID-19についても、第二波に備えるべきという報道をよく耳にする。現代科学をもってしても、特効薬もワクチンもいつ出来上がるとも知れない。人類はもうしばらく、この疫病と付き合わないといけないようだ。

…とてつもなく美味しいレストランがローマにあって、いつか行こうと妻に言いつつ、もたもたしていたら、こんなことになってしまった。あのお店は、また僕たちは、この波を首尾よく越えられるだろうか。