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小学校プログラミング教育の体系表

 小学校プログラミング教育の体系表を自分なりに作成しました。下記よりPDF(A4版)にしたものもダウンロードできます。転用、引用の際は、Kaz-Lab(はやしかずま研究室)の明記をお願いします。

 昨年度まで、小学校プログラミング教育を円滑に実施できるように、市内の学校に研修を行っていました。小学校プログラミング教育の全面実施から時間が経っているものの、小学校プログラミングの実施したばかりという学校が多くありました。そのため、「プログラミングの考え方を授業に取り入れよう」といった基礎的な研修の要請が多くなっていました。

 研修内容として、アンプラグドプログラミングが中心となるわけですが、「小学校プログラミング教育は、アンプラグドプログラミングさえ扱えばよい」という間違った認識を植え付けてしまう危険性も伴います。そこで、このようにならないためには、小学校プログラミング教育が目指すもの、取り組んでいる授業が、どの位置付けなのかを見分けられるものが必要であると考え、この体系表を作成しました。

 文部科学省、小学校プログラミング教育の手引 第3版(令和2年2月)の「小学校段階のプログラミングに関する学習活動の分類」では表さすことができていない、また、アンプラグド、ビジュアル、ロボットの教材にはとらわれない、区分や目指すべきゴールを表現できたと思います。 
 下記に「学びなし型」「教科のねらい達成型「とりあえず慣れる型」 「探求・創造型」それぞれについて説明します。参考にしていただければ幸いです。 

 「学びなし型」・・・プログラミング(操作)に意識が行き過ぎて、教科の学びが薄れてしまう授業です。プログラミングがあくまで手段であることをイメージできていないため、プログラミングを教えているのか、教科の内容を教えているのか、見ていてよく分からない授業となります。
 とりあえず取り組んでみて、最初はこの段階でも構いません。ただし、プログラミングの授業を取り組む中で、いち早く上の段階である、教科の学びが保障されている「教科のねらい達成型」に移行していく必要があります。
 
 「教科のねらい達成型」・・・プログラミングの考え方で授業が展開され、教科の学び(見方・考え方)を深めたり、ねらいを達成したりする授業です。プログラミングの考え方は、手段であり、あくまで補助的なものという位置付けです。教科の学習を通して、プログラミングの考え方をイメージできるようになることで、コンピュータを使ったビジュアルやロボットプログラミングで、プログラムを組む際にも生きてきます。
 
 「とりあえず慣れる型」・・・ビジュアルプログラミングやロボットプログラミングの導入時がこちらになります。操作スキルから、コンピュータを使ったプログラミング体験など、プログラミング自体を学ぶ授業となります。ただし、ただプログラムを作っておしまいではなく、目的を明確にし、一時間の授業の中でどのような学びがあったのか、児童に思考の過程を意識した振り返りができていることが求められます。
 特定のミッションを与え、ロボットやキャラクター(ビジュアルの場合)を指定された場所へ動かしたり、必要なプログラムを組んだりするのは、この型に入ります。
 ここでの学びが、「教科のねらい達成型」にも生きてきます。例えば、5年算数「円や正多角形」でビジュアルプログラミングを使って作図する活動となります。
 
 「探求・創造型」・・・ビジュアルやロボットプログラミングを学ぶのではなく、これらをツールとして使い、総合の探求的な課題を解決する学習となります。例えば、過疎化の進む農村地域の農業の活性化のために、必要なロボット(開発段階でビジュアルプログラミングも考えられる)を考え、実際にシミュレーションしたり、地域に提案するために表現ツールとして使ったりする活動です。
 SDGsの取り組みを総合に取り入れる学校が増えてきています。その取り組みの中で、プログラミング教育が組み込まれていければと思っています。


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