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若造デザイナーが会社を作ってみて感じたこと

新年になってますが、一年を振り返ってみてと今年の抱負的なアレです。
2016年は失敗も多く、うまくいかないことだらけの一年だったのですが、自分の行動をきちんと文章にして棚卸ししておくことで、この一年でどんなことを得たのかを確認することと、今後のキャリアの方向性を確かめる意味でもやっておく価値はあると思い、自分の性格的に公開前提じゃないと書かないので発信することにしました。


一年間どんなことをやっていたか


大学を3月に卒業し、4月から会社員をやりつつ、並行して以前から作っていたプロダクトで大学時代の先輩と会社を作って事業化を目指していました。

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結果から言うとうまくいかずに一度撤退することになりました。
失敗っていうとすごくマイナスな感じですが、やらないとわからないことだらけだったし、得られたものもいっぱいあったので、まとめておこうと思います。

なんでデザイナーがそんなことをやってるのか?(前段)

自分の中でデザイナーは発想を形にすることを目的としていて、大学の恩師の影響もあり、僕はモノづくりよりも、事業そのものを作ること自体に興味がありました。デザインはプロダクトを魅力的、機能的にするための手段だと思うし、作ることそのものを目的としてはいません。
(詳しく書くとこれ一つでブログ数記事分になりそうなので、割愛しますがもちろん作ることを軽視しているわけではないですし、デザインを作ることも好きです。※ここ重要)
そういう前提の中で、自分がこのタイミングで挑戦してみようと思い立った理由が3つありました。

① 自分が働き盛りの時にオリンピックという大きなチャンスがある
② IT×医療という分野
③「プロダクトの提案・開発」レベルから「事業」まで昇華したい


①オリンピックというチャンス
自分が27くらいの働き盛りの時に、経済的に大きなチャンスの東京オリンピックがあるというのが一つ目の理由です、世界中から日本に観光客が訪れ、大きな経済効果をもつオリンピックのタイミングで挑戦できるチャンスは後の人生で一回も無いと思い、そのタイミングを逆算すると、今挑戦することに価値があると考えていました。

②IT×医療という分野
大学時代にもともとやっていた研究をベースとしてシステムを作っていたのですが、それは救急医療の不都合を解消するものでした。ベタなこというと人の為になるサービスを作ることは挑戦しがいのあるものだと感じていたし、この分野は世界中で注目されていますが、まだまだ問題だらけで、世界の中でも高齢化がいち早く進んでいる日本で先行事例を作ってみたいと思っていました。

③「プロダクトの提案・開発」レベルからの脱却
これは完全に私的な感情が入っているのですが、デザイン思考によるイノベーションとかバズワード的なUXとかビジネスにデザインが重要とか言われている昨今で、「結局デザイナーの考えるビジネスって絵に描いたモチだよね」的な意見が多いのも事実です。だからこそ、デザイナーの考えるプロダクトやサービスの提案から、一歩踏みこんできちんとビジネスにしてみたいという思いがありました。

具体的に何をやっていたか


学生時代に作っていたシステムをベースにしていたため、プロトタイプはある程度できていました。それを実際に救急現場で働いている消防隊員や、救急専門医の方々に持っていって説明して、現場の意見を頂きながら更に開発を進めたり、システムの導入実績をつくるために、地方自治体やスポーツイベントの主催者の方などとコンタクトを取り、営業資料を作って会いに行ったり、同時に事業をつくることに関しても全くの無知だったので、複数のスタートアップ支援プログラムに参加したり、先輩起業家の方々にアドバイスを頂いたり、事業計画書書いてVCの方々にお会いしたりしながら資金調達のいろはを学んだり。とにかくできることはなんでもやっていました。もちろん1人では到底できることではなく、本当にいろいろな方々にお世話になりました。
こういった諸々をやっている中で、「プロダクトの提案・開発」だけでは気づけなかっただろうなと思うことがあります。


プロダクトを作ることと会社を作ることは全くの別物
当たり前っちゃ当たり前なんですが、ここはやってみなければわからなかった一番の大きな点でした。特にユーザ側の問題解決から思考する開発側の人間にとって、「いいプロダクトをつくる」ということはある程度考えられるのですが、「そのプロダクトでどうやってお金を稼ぐか」(ビジネスモデルの構築)に関しては本当に無知でした。サービスを提供する会社を作るということは、この2つを同時並行で進めなくてはならず、片方がうまくいっても、もう片方がうまくいかなければ会社としては存続できません。そしてこれを同時並行で行うということは超人的な天才で無いと絶対に不可能だと感じました。(だからこそほとんどの会社はCEO(事業サイド)とCTO(開発サイド)を置いてそれぞれの領域に責任を持ちます。)また会社というものは他にも考えることが多すぎて、今の僕個人の頭では到底追いつきませんでした。
必要なものはビジョンに共感できるかどうかだけ
これもスタートアップによく言われることですが、正直立ち上げ期のスタートアップで突出したスキルは必要なく、とにかくその会社・プロダクトの可能性に共感できるか?それだけで十分だと改めて感じました。むしろそれが無い場合、どれだけスキルが高くてもマネジメントコストの方がかかる気がするので、小さい組織には不向きだと思います。これは今大きい会社で働いてみても強く感じます。


自分の考え方が変化してきた


そういった中でどうやって収益を上げるべきか、みたいなことを考えていると自分の頭の中がどんどんビジネス寄りになっていくのを感じました。今まで考えてきたようなユーザ視点での考え方とは全く異なる、会社としての大きなレイヤーでの視点での考えを持つようになりました。
しかし、頭はどんどんビジネス寄りになっていくんだけど、結局本物のレベルには及ばず足りていない自分に苦しみ、そして自分が成果を出せる方向(もっというと今は出せなくても成長したい方向)が本当にそっちなのか?と思うようにもなりました。
また、もともと問題解決から入ったプロダクトを作っていたため、

・問題を解決することと、市場を見る感覚の乖離
・ユーザにとって最良のものを作ることと、それを事業として回すことのギャップ


を非常に考えさせられ、結局のところ上記で述べたような「プロダクト」と「事業」の両面を同時にみることの難しさをひしひしと感じました。


経験を踏まえて今後どうしていくか?


自分は経営層と対等に話せるデザイナーを目指したいと思っています。
そのためには「プロダクト」と「事業」の二つのうちまずは「プロダクト」側できちんと開発に責任を持てるように成長することが一番だと考えるようになりました。

そのために何をするか?
よく思考力・マインド・スキル(専門性)が優秀な人材における三要素と言われていますが、昨年は特に思考力・マインドの部分を大きく学んできたように思えます。今年はそこからもっとスキル(専門性)の方に時間を割き、専門能力を磨きたいと思っています。ですので今年一年は「デザイナー」としてよりプロダクトに向き合う時間を多く取ることを意識していきたいです。
思ったより長くなってしまいましたが今年もよろしくお願いいたします!

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