キャリアがバラバラな人の転職法


「転職を何度も繰り返してきたが、転職先に一貫性がなく、業種がバラバラ」
こうした背景を持つ相談者に随分と会ってきました。

ひょっとしてあなたもその一人ですか?

自分が何をしたいかがわからず、次の転職先に何を伝えればいいのかもわからない。こうした相談者の抱える困難は大きなものです。そこに解決策はあるのでしょうか。

キャリアコンサルタントは様々なカウンセリング手法を持っています。
代表的な手法の一つにナラティブ・アプローチというものがあります。

ナラティブとは「物語的な」というような意味。語り手をナレーターと言いますが語源は同じです。

この手法は本人が語るストーリーを通して問題解決を図ろうとするもの。90年代の臨床心理学から誕生しました。誕生した背景に、カウンセラーは相談者を誘導してしまいがちだという事情がありました。そのためカウンセラー主導となってしまい、相談者の内面に迫れないという問題がクロースアップされていたのです。

そこで、相談者が自分自身のストーリーを語るところから始めることが提唱されました。カウンセラーはそのストーリーを完成させる手助けをしていくのです。これなら主役はあくまで相談者であり、相談者のキャリアに終始スポットが当たることになります。

キャリアは経験の羅列ではありません。そこにはこれまで生きて来た物語があるはずです。
人はデータが並んでいるだけのものを理解するようにはできていません。キャリアをストーリーとして認知した時、初めて理解できるのです。

あなたに問います。応募企業に提出する書類にストーリーがありますか。面接で披露する自己紹介は物語となっていますか。

もし、その筋道が矛盾や疑問に満ちていれば相手にとって不可解なものでしかありません。転職を重ね、その業界に一貫性が無ければ、そのキャリアはわけのわからないものとして伝わってしまうことでしょう。

履歴書がバラバラなデータの羅列になっているのならそれをストーリーとして再構成してみる必要があります。

実はそのためにジョブカードが非常に有効なツールなのです。
ジョブカードの職務経歴シートを見てみましょう。会社名の欄の隣に別欄があります。そこにはその会社で学んだことなどを記入するようになっています。

例えば、最初の会社では社会人の基礎を学んだ。社会の仕組みや人間関係の機微を知り、
学生から大きく飛躍することができた。
2番目の会社では営業の仕事に就き、人はどんなことに喜びを覚えて行動に出るかを知った。云々。

こうした中で、それぞれの企業に在籍したことで自分が人間として成長してきた経過をストーリーとして見えるようにまとめていきます。

その作業を通して、あなたは自分が本当にしたいことを見つけていけるでしょうし、自分のキャリアを人にわかってもらえる表現が手に入る、というわけです。

思い通りの職に就くことは難しいことです。通勤場所や報酬額などの条件のために望んでいない職に就いてしまった、ということもあるでしょう。その結果、転職数が多くなり業界がバラバラになってしまっているかもしれません。

しかし、その履歴書は、あまりに一貫性が無いままになっていませんか。あなたが辿ってきた道がどんなものであっても、そこにはストーリーがあるはずです。そのストーリーを語ることが問題解決の道です。

語れなければジョブカードを書き、キャリアコンサルティングを受けてみましょう。辿ってきた道を整理して文字化すること。それを第3者の視点で確認すること。そこからあなたが求めるキャリアを切り開く方法が見えてくるはずです。

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