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料理を好きになる時間12

こんばんは。久しぶりの投稿になります。2022年が始まり、みなさんいかがお過ごしですか。

今日は、少しだけ趣向を変えて

プロの料理人である僕が調理中に思っていること

についてお話していこうと思います。

最初に言います。

めっっっっっっっっちゃ奥が深いです‪(笑)

語るとかなり長くなるので、大きく3つに分けてお話しますね。





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そうそう、本題に入る前に、一つだけ。

「満腹」と「満足」の違い

について。少しだけ話させてください

満腹…お腹だけが満たされた状態
満足…お腹と「心」が満たされた状態

僕らは常に「満足」を目指して料理を作っています。

このことを頭に入れておいてほしいです。


※満腹、満足は個人の価値観です。

押し付けをするつもりはないことは予めご了承ください


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さて、本題に戻りますね。

僕が調理中に思っていること。その3つとは……




①食材選びと季節性


②調理技法と献立の統一感


③(食べてくれる人との)関係性と距離感






ざっくり分けて

「食材」

「技術」

「人」

ですね。詳しくお話します。





✩。✧*。

①【食材選びと季節性】

簡単に言えば、「旬の食材、食べてくれる人が好きな食材をいっぱい使おう。」ってことです

当たり前だけど

料理を食べて喜んでくれたら嬉しいです。

喜びの感じ方は人それぞれです。だけど、少なくとも

「美味しい料理を出したいっていう気持ち」

が伝わった時って嬉しくなりませんか?



「この人は私のために作ってくれたんだ。」


「前に私がこの食材好きって言ったの

覚えててくれたんだ。」


「苦手だって言った食材が入ってないのに気付いた」


こういう瞬間に少しだけ気持ちが満たされて、

「美味しいなぁ」

って感じるのではないでしょうか。

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まずは食材を選ぶ時、「あの人って何が好きだっけ」

「今が旬のものは使えるかな」って僕は考えています。



②調理技法と献立の統一感

さて、次は「技術」ですね。

これはもう自分の持っている技術の多さが

ものを言う場合がほとんどです。

…いや、少し語弊がありますね。

自分の持っている技術が多いと、

「取れる選択肢が増える」

が、より近いニュアンスですね。

・食材の切り方や飾り切り

・火入れ加減や味加減

・盛り付け方や配膳順

技術の調節できる部分が多ければ多いほど、より細かく

「美味しいを伝えるカード」

として相手に渡すことができます。

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盛り付けが綺麗な料理を見た時

飾り切りが綺麗な料理を見た時


それを自分が今から食べれるとわかった時


幸福感を味わうことができます。

つまり…………



料理を食べる前から幸せ🤤





なんです。

調理音と盛り付け、そして料理の香り。

つまり視覚と聴覚そして嗅覚、味覚だけではなく、




五感で楽しむからこその『満たされる食事』





だと思ってます。


調理技術が上がれば上がるほど、より高いレベルで「満たされる食事」が完成します。






③(食べてくれる人)との関係性と距離感



上に2つ、どちらも大事なことを書いていますが

はっきり言って




ぶっちゃけこれが1番大事です。





理由は単純です。

「食を媒介としたコミュニケーションが

‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌               料理だから」

自分が人で、相手も人ならお互いに心があります。


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どれだけ認識に共通点があるか、

どれだけお互いを想っているか、

どれだけお互いのことを知っているか

どれだけお互いのことを知ろうとしているか

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子供の頃に親が作ってくれたカレーはどんな味でしたか?

甘かったですか?

食材の大きさは?

どんな時にカレーが出てきましたか?




全ての家庭が同じように幸せだと思うのは違うと思いますが、

形は違えど愛を注いでくれる人がいたから、ここまで大きくなれたのではないでしょうか。

料理人は全ての人の親にはなれませんが

対象がわかれば汲み取る努力はできます。

「その人がどんな環境で育ったのか」

「どんなものを普段食べているのか」

「笑顔を見せてくれる瞬間はいつなのか」


会話や生活からわかることはかなり多いです。

それをいかに料理に組み込むか。組み込んだだけ、料理に深みが出ます。






…ただ

料理全てに理由を詰め込んで、説明しても

逆に情報過多で食べる方は疲れちゃいます。

ここでひとつ。上級者の技



あえて説明しないことで

心地良さの正体を濁す


本当に幸せの時って、食事だけではなく、その空間にさえも心地良さを感じることはありませんか?

温泉旅館のお部屋で食べる食事みたいなのを想像してくれればわかるかなと思います。

その心地良さの正体って、実はかなり計算されたおもてなしの結果だったりするんです。


・料理の運ばれてくるペース

・料理の並び順から食べてほしい順を示唆

・盛り上がりを乱さないタイミングでの食器の下げ

・部屋の気温や空気の流れ


まだまだあると思いますが、これらがピッタリ自分の「心地いい」とハマる瞬間を作るのがプロの仕事です。

「心地いい」にハマると、料理と会話に集中できます。


楽しくなります。美味しいを感じることができます。


そうなると、『気付けます』


「あれ、この料理って…」

「あれ、これって前に話してた、「食べたいって言った料理」だ…。」

「じゃあもしかしてこれも…?」


クイズの正解を考えるように、連鎖的に気付くことが増えてきます。

これは答えを貰うより、たどり着いた方が何倍も気持ちいいですよね。

「あえて言わない」

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日本人にはそういう心があります。

多角的に伸びていく枝が綺麗なように、

様々な角度から見る料理はとても面白いです。

もちろん全部に気付けなくても、気づけたことがあるだけで十分です。


‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌✩。✧*。





さて、長くなりましたが、今回はこの辺で終了です。

僕は個人的に料理にストーリーを作るのが好きなので、ここまで考えて料理を楽しんでいます。

もちろんこの考え方だけが正解じゃないです。

それぞれが考える料理があると思います。

形や大きさが違えど、愛のある料理は美味しいです。

味じゃなくて、心が。

舌で、そして心で「感動」に出会える食事に

これを読んでるあなたが出会えますように。

‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌ ‌‌‌‌ ‌🍴𝓚𝓪𝔃𝓲



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