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主観的判断の過程の見える化をしなきゃなという話

事業判断において「なんで和さんはわかるんですか?」と聞かれることがあるのですが、基本的に「わかって」はいません。
事業責任者の仕事は、答えを見つけることではなく、答えを決めることだからです。
この答えは、正解という意味ではなくて、現時点では確からしい、たぶんそうだろう、事業上それが適切だろう、たぶん間違いではないだろう、最悪な選択ではないだろうといろいろなレベル感はあるとは思いますが、数学の問題のように1つの定まる解を出す、というものではありません。
(なお、数学の問題のすべてにおいて解が1つに定まると言っていいかは知りません。)

では、どのようにその答えを出しているのかと考えてみると①客観的事実②主観的判断によってなされるのだと思います。
自分の強みは、この②主観的判断を説得力をもって、あたかも①客観的事実かのように示すことができ、その結果、まわりの人が私が言うのだからそうなんだろうと信じてくれるところにあるように思います。
これは、能力的なところもあるかもしれませんが、末っ子長男B型というわがまま三昧に育ち、地球は私を中心に回っている的な思考が根底にあるようにも思います。
まぁ、あとは矜持のところですかね。

一方で、事業責任者という立ち位置から「事業責任者を育てる立場」になったときに、この強みは一気に欠点になるなと今日思いました。
何かあったわけではなく(とは言え、いろいろ複合的に経験した結果ではあると思うのですが)、今日ふと朝通勤中に思いました。
私自身が①客観的事実と②主観的判断を明確に区別せず、コミュニケーションをとってきた結果、ガラガラポンと答えだけを現場のメンバーに出してしまうので、まわりの人が私以外には正しい答えが出せないのでは?、自分では正しい答えが出せないのでは?と思ってしまっている気がしています。

そして、①客観的事実⇒②主観的判断という一定の経験を事業判断において積む経験をしておかないといざ事業責任者になったときに、事業責任者として「決める」ということが自信をもってできないのではないだろうかと思ったのです。

ただ、実際に何をやっているかを考えてみると、そう複雑ではありません。
①客観的事実は、積み上げるだけです。
現場のメンバーを集めて、情報を集めればなんとかなります。

②主観的判断は、さらに分類すると、A経験、B知識、C論理的判断になるかと思います。

A経験は、過去これで上手くいったという言わば定石的なもので、法則や定理に近いと思います。
経験を積むか、あるいはその事業部に脈々と受け継がれるノウハウを形式知することで対処が可能です。

B知識は、自己研鑽、貪欲に収集するか、優秀なブレーンをつけることでしょう。

C論理的判断ですが、ここは難しいところです。
私の場合、他の優秀な人と比べてしまうとレベル感はあるもの、ここが自然にできているように思います。
他の人に「どうしたらできるのですか?」と聞かれると、「じゃあ、逆になんでできないのですか?」という感じになってしまいます。
感覚的にいうと、私の論理的判断は、あらゆる可能性を洗い出して、そこから消去法的に削っていくイメージです。
頭の中でロジックツリーを作っている感じです。
そのなかには三段論法的に事実として仮定するようなこともしています(している気がします)。

ここまで考えて改めて自分の過去のコミュニケーションを考えると、コミュニケーション相手が自分の考えと乖離があるときに「なんでわからないの?」「なんでこんな簡単なことがわからないの?」のような気持ちになり、それでイライラしてしまうということがあるような気がします。
最近、『怒らない技術』を呼んで理解したことですが、イライラしないためには、コミュニケーション相手のことを理解することが何より大切です。
そのため、相手の考えと乖離があるときには、A経験B知識C論理的判断のどの点がボトルネックなのか判断するように努めようと思います。
A経験に問題があるのであれば、こういうものだよと知見を伝えればいいと思います。
そして、どんどん経験をついてけばよいでしょう。
B知識に問題があるのであれば、こちらも知識をしっかり身につけるように伝えるか、こういうことはこの人に聞けばいいよと人脈を渡すことで解決できます。
Cに問題がある場合は、正直まだ答えはでていませんが、さらにブレイクダウンして、一緒に段階を踏んでディスカッションをしていくことで、どういうところに論理的な思考ができない妨げがあるか、考えが発散するばかりで収束することができないのか、などなど見えてくることはあると思います。
もしかしたら、お手上げとなり、その人には別の役割を求めることになるかもしれません。
ただ、その場合でも、今の一方的にイライラしてしまう状況からは良いほうに進んでいると思いますので、いったんこの方針で考えようと思います。

今後

新たな試みとして何らかの事業上の判断をする場合には、①客観的事実を収集するために関係者を集めて客観的事実を積み上げた後、②主観的判断を私がする道、頭の中を、メンバーに見えるかたちでアウトプットして、その上で、メンバーにA経験、B知識、C論理的判断に課題がないか、課題がある場合には、どの部分に課題があるかを見つけていくようなコミュニケーションを取っていこうと思います。
そのことが、事業責任者として「任せること」につながっていくことでしょう。

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