見出し画像

風録、1stアルバム「さよならポートレイト」発売について(1.アルバム解説ほか)

久しぶりの投稿になります。
先日ですが、わたくし、風録(かぜろく)の1stアルバム「さよならポートレイト」が、2023年5月10日に発売されました。

【トレイラー動画】https://youtu.be/OUOqj94mgrU

【CD】https://ultra-shibuya.com/products/4526180650461

【デジタル&配信等】https://ultravybe.lnk.to/sayonara

【歌詞カード】※サブスク等で聴いていて歌詞を知りたくなった人向けに、歌詞カードをフリーダウンロードで用意しました。

今回は、アルバム「さよならポートレイト」について書いていこうと思います。

まず、風録(かぜろく)とは、元を辿ると2004年に僕がギター兼ボーカルでリーダーを務める形で結成した最初のバンドでした。(当時はくるり/ナンバーガールの系統の音楽性を目指していました)
そこから非常に長い年月の紆余曲折(インストバンド「ヨソハヨソ」を2008年に結成〜2019年活動休止までの11年も含めて)があり、現在「風録」という名はバンド名から僕のソロ活動の名義へと変わり現在に至ります。
今作「さよならポートレイト」は、風録としての初めての公式発表音源となります。

風録のサウンドの特徴は、当初から一貫して「90〜00年代喫茶ロックのオルタナ的解釈によるアップデート」なのだと思っています。
それで、様々なニッチな試みをアレンジの形で随所に入れ込んでみている感じが基本姿勢ではあるんですが、今作には裏テーマがあり、それは「記憶の標本化」だと思っています。

初めてのフルアルバム作品だけあって、やはりこれまで尊敬してきた多くのミュージシャンが皆そうであるように、第1作目は初期衝動/自己表現的なアウトプットをと、当初から漠然に思ったりしていました。
しかし、いざ自分自身の記憶をそのままパッケージングしていく作業に取り掛かってみると、その性質上、一歩間違えればただの自伝的私小説/作文のテイストになってしまいがちという、制作初期段階でそうした問題が早々に浮かび上がってきた。
「否、得てして芸術とは本質的に孤独で独りよがりで恥ずかしい代物である」と、自分自身を納得させようと最初は思ったりしたものの、アーティストとして最初からそんな消極的姿勢ではちょっと寂しいというか、志が低いような気がした。
そこで、音楽を安易な共感のツールで終わらせない、共感の向こう側にある追体験の境地に到達すること目標に定め、情報を削ぎ落として概念のみを残していく「記憶のデフォルメ作業」ともいえる加工を加えていき、表現方法や曲そのものも大きく変わっていきました。

作品に落とし込む過程でバラバラに破壊された記憶が、聴いた人の中で再構築されるのを目指したツール、つまりそれが「記憶の標本化」の真の意図であったりします。
そしてこのアルバムに使用した僕自身の記憶は、作品になることで壊れて「さよなら」していったので「さよならポートレイト」というアルバムタイトルに決まり、写真の黒い縁取りはその象徴として遺影の意味を込めました。

2023/5/10発売 風録「さよならポートレイト」


そして、自分の記憶をモチーフにした今作のような自己表現的アプローチの作品作りというのは、アルバム単位では多分今後もうやらないと思う。
そういう意味で「さよならポートレイト」というタイトルには“(自分にとっての)自己表現の終焉”という意味合いも含まれているのかもしれません。

【レコーディングについて】
スケジュールを振り返ると、アルバムのレコーディングそのものは2021年冬頃に終了し、2022年5月にマスタリングが完了。
ギターおよびボーカル、ノイズ/SE関係、一部パーカッションのパートは全て自宅防音室で録音。
ドラムに関しては後述の3曲のみスタジオレコーディングを行いました。

使用ギター(エレキ):MOMOSE MST1-STD
           Fender Japan Stratcaster
           Fender USA Telecaster
           Fender USA Jazzmaster
           Gibson Les Paul Studio
     (アコギ):Yairi SBL-1A
           YAMAHA FS-423S
ギターアンプ    :PEAVEY ENVOY 110(40w)
           Roland CUBE30(30w)
ギターRec時の使用マイク:Sennheiser MD421-Ⅱ
             Soundking SKEC010
ボーカルRec時の使用マイク:AKG C414
オーディオインターフェース:Roland FA-66
              Allen and Heath ZED-10FX
マイクプリアンプ :Universal Audio Twin Finity 710
PC                           :Mac Pro(Mid 2012)
DAW                       :Logic Pro 10
フィールドRec機材:ZOOM H4n
          Apple iPhone XR

わかる方はわかるかもしれませんが、いわゆるプロユースの高価な定番機材と、エッ?と思うぐらいのエントリーモデルも色々混ざった状態でレコーディングを進めました。
ノイズのレコーディングに至っては、被覆を剥がしてむき出しになってるケーブルをギターアンプに刺し、剥き出しの線をピンセットで触れてショートさせてマイク録りするなど、かなりやりたい放題でした。

今回の制作における全楽器&使用機材の中でもしMVPを決めるなら「防音室」かもしれません。
自作防音室の制作記事がTwitterでバズッた、コロナ禍初期の2020年5月。
あれから普段の練習だけでなく楽曲のアレンジを詰める作業から、アルバムの大半のレコーディングに至るまで本当に大活躍してくれました。

もし仮に今作の制作と同じ事を全てレコーディングスタジオを借りてやってたら、アルバム完成までにリアルに2〜300万ぐらいかかるなどして、今ごろ頭を抱えていたかもしれないと思ってます。

【参加ミュージシャン&エンジニア】

・ゲストヴォーカル:川上恵里(やまのいゆずる)
3.JUSCO JUSCO
10.夢見る自転車
以上2曲に参加。清涼感ある歌声で素敵に彩ってくれました。

また、以下の3曲はそれぞれ3名のドラマーによってスタジオレーコーディングをしました。三者三様のプレイスタイルが出ているかと思います。

5. さよならポートレイト〜関東地方、夏の空〜
:藤巻鉄郎(massimo/Ikema YukoNo lawson/TCS)
6.僕らのタイムマシーン
:武藤雄次郎(Aureole/ヨソハヨソ)
10.夢見る自転車
:田辺恍輔(SPOILMAN/ヨソハヨソ)

・ドラムレコーディング&ミックス:久恒亮(studio ZOT)
・マスタリング:風間萌(studio Chatri)

いろいろ無茶な作品であるにもかかわらず、多くの人の最高のお仕事に触れることができました。
多大なる感謝と尊敬の念を胸に、紹介にかえさせていただきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?